1998 Fiscal Year Annual Research Report
フランスにおける労働時間短縮と余暇に関する史的研究
Project/Area Number |
08630073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣田 功 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (90055236)
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Keywords | 労働時間短縮 / 余暇 / 8時間労働 / 週休制 / ヴァカンス / 余暇の組織化 / 土曜半休 / 日曜日休日 |
Research Abstract |
これまでフランスにおける労働者の余暇問題が大きな社会・政治問題となる契機として1919年の8時間労働法の成立の意義が強調されてきた。たしかに労働運動の余暇論から見ると、8時間法を契機に「余暇の組織化」の課題が提起され、労働組合の要求の中に余暇が位置づけられたことは事実である。しかし8時間法が労働者の余暇問題にとって画期となったことは、19世紀末から徐々に慣行として浸透し、1906年「週休法」によって制度化された「日曜日休日」、さらに大戦中制度化された土曜半休制の導入と一体のものとして把握されねばならない。8時間法は、土曜半休制とあいまって平日の勤務終了後や土曜日の午後、必要な日常の買い物を済ませることを可能にし、「週休日」(日曜日)を自由時間として多様な余暇のために活用することを可能にすることによって「週休制度」の確立をもたらしたのである。 それでは19世紀以来、労働者・民衆の生活の中で日曜日はどのような役割をもち、どのように変化して来たのであろうか。また1906年週休法は、どのような歴史的背景のもとで、どのような理念、運動に支えられて成立したのであろうか。この研究では、フランス革命から第一次大戦までの、労働者の生活における日曜日の意味の歴史的変化、それを規定した社会的、経済的、文化的要因を明らかにし、さらに「日曜労働」から「日曜休日」への変化が生じ、定着する過程を明らかにする。
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