1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08630076
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 房雄 広島大学, 経済学部, 教授 (90104869)
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Keywords | ドイツ世襲財産 / ヨーロッパ農村社会 / 都市近郊農村 |
Research Abstract |
平成8年度の研究実績は、およそ以下のとおりである。(1)図書整備については、とりわけ「ドイツ農村社会史と東エルベ土地制度史」に即して、W.レ-ゼナ-のグルントヘルシャフト論あるいはW.シュパッツのベルリン近郊農村史等の新刊書や古典的文献を幅広く収集・整理した。(2)図書館・文書館調査は、国会図書館とベルリン・フンボルト大学図書館、そしてベルリン文書館(Landeshauptarchiv Berlin)を中心に計4度行ったが、ドイツ農村社会史研究における新分野と言いえよう「都市近郊農村Vorortgemeinde」ならびに「都市・近郊農村関係」に関する基礎資料の発見と一応の整備を果たすことができた。先述したシュパッツの三部作のコピー化は、ここでの果実の最たるものの一つである。さらに、本研究費により、ベルリン文書館で入手しえたベルリン・Teltow郡関係一次資料のマイクロ・フィッシュをコピー化できたことも大きな成果の一つとして特記したい。(3)研究発表としては、フンボルト大学主催の日独比較シンポジウムの席上、Agrarentwicklung und Agrargesellschaft Japans nach dem Zweiten Weltkriegと題して、「日本農業と農村社会の歴史」について報告する機会を得た。 そこで、平成9年度の研究計画であるが、今のところ以下の二点を予定したいと考えている。(1)「ドイツ世襲財産とヨーロッパ農村社会」という設定テーマに関する該研究のさしあたっての到達点を示すために、ドイツ世襲財産論について、本年9月のベルリン・コロッキウムで再度、口頭発表する。(2)農村社会論の視野を、「都市近郊農村の実態と、そこで展開される、都市との様々な社会経済的諸関係の実証分析」に絞り込み、シュパッツ以降の関連文献と文書館資料をできるだけ系統的に収集する。以上である。
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