1997 Fiscal Year Annual Research Report
「テクノロジー・サイクルと日本企業の海外直接投資戦略:理論と実証研究」
Project/Area Number |
08630108
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Research Institution | The University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木村 雄偉 筑波大学, 社会工学系, 教授 (50205001)
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Keywords | 海外直接投資 / 外国籍企業 / プロダクト・サイクル理論 / 国際化戦略 / 技術変化 / Evolutionary Economics |
Research Abstract |
今年度における本研究の主要な目的は、昨年度に実施した理論的研究の基づき導出された技術変化の企業の海外直接投資に与える影響に関する仮説の検定を行うことにあった。先ず、仮説の検定に必要な企業財務データ・産業データ、海外直接投資データのうち昨年度中に収集できなかったデータの収集を継続し、データ・ベースの構築を行った。次に、本年度研究計画の第2段階として、計量モデルを構築し、仮説の統計的検定を行った。基本的にこのモデルは、企業の海外直接投資行動はその技術革新行動によって決定されるとするものである。 仮説検定の結果は、設定された仮説はおおむね実証されたと結論することができる。第1に、日本企業の米国に対する直接投資の決定要因として、技術革新が最も重要な要因として確定することができた。しかし、日本本国における技術変化が激しい時には、直接投資を通して海外市場に展開を図るよりも、国内における研究開発・生産を集中し、海外市場は輸出で対応することが新たな知見として得られた。第2に、海外進出に関して1960-70年代の日本企業と似た状況に現在あると思われる韓国企業の海外直接投資の決定要因を統計的に分析してみると、その海外直接投資行動は非常に軟弱な技術基盤に基づいていることがわかった。この二点の知見を併せて推論すると、日本企業の現在の直接投資を通した海外進出は、1960-70年代の日本企業による技術革新の拡大、技術フォロア-から技術リーダーへの変革(Evolution)によるものと考えられる。
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