1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640248
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Research Institution | SETSUNAN UNIVERSITY |
Principal Investigator |
島田 伸一 摂南大学, 工学部, 助教授 (40196481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪川 武弘 福井工業高等専門学校, 一般科目教室, 助教授 (70236941)
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Keywords | Schrodinger作用素 / 散乱理論 / 波動作用素 / 波動関数 / 干渉 / 散乱振幅 |
Research Abstract |
外村の電子の''粒子と波動の二重性''を示した実験に示唆されて、3次元空間内でx軸上にのみサポートを持つポテンシャルを持つSchro dinger作用素の散乱理論を考えた。この作用素HはAを全空間からx軸を除いた開集合上にコムパクトサポートを持つ無限階微分可能な関数全体を定義域とするラプラシアンとするとき、Aの自己共役拡張として定義した。Hのスペクトルは0以下に固有値が高々1個、正の部分は絶対連続スペクトルからなる。もっと一般に、Aのすべての自己共役拡張を決定することもできる。これらの自己共役作用素は複雑なスペクトルの構造を持っている。例えば、-∝に収束する固有値を持ったり、正の固有値を持ったりする。もっと詳しいスペクトルの解析はこれからの課題である。 上記Hに戻る。波動作用素の存在と完全性を示した。これはHはフリーのラプラシアンのランク1の摂動となっているので、トレースクラスに入っていることから出る。Enssの方法を用いるとさらに特異連続スペクトルが無いこともわかる。次ぎに散乱作用素の運動量空間における積分作用素の表示を求めた。この積分核は散乱現象を表わす波動関数と考えられる。x軸上のポテンシャル(線密度)を線分の定義関数に取り、波動関数の絶対値の2乗をmathematicaで出力させると干渉縞のようなものを得ることができた。これはHが外村の実験の近似的なモデルになっていることを示唆していると思われる。数学的に厳密に定義された自己共役作用素で干渉現象を表わすモデルを与えられたことは本研究の満足すべき一つの結果であると思われる。
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[Publications] 島田伸一: "A solvable model for line interaction" 京都大学数理解析研究所講究録. 994. 168-183 (1997)
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[Publications] 坪川武弘: "工学系に必要とされる数学に関する調査研究1(材料力学)" 日本数学教育学会高専部会誌. 4・1. 99-128 (1997)
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[Publications] 坪川武弘: "工学系に必要とされる数学に関する調査研究1(流体力学)" 日本数学教育学会高専部会誌. 4・1. 1-28 (1997)