1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640254
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
楠岡 成雄 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (00114463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 久美子 信州大学, 理学部, 助教授 (80231520)
吉田 朋広 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (90210707)
長田 博文 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 助教授 (20177207)
俣野 博 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (40126165)
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Keywords | 数理ファイナス / 金利の期間構造 / 確率偏微分方程式 |
Research Abstract |
金利の期間構造に対しては種々のモデルが提唱されているが、どのモデルも一長一短があり、実証研究からも必ずしもどのモデルがよりよいか全くわからない状況である。金利の期間構造の究極のモデルとして確率偏微分方程式モデルが考えられる。本研究では、金利の期間構造の候補となり得る確率偏微分方程式について、解の存在や一意性、解の性質についての研究を行った。 まず金利の期間構造のモデルとなり得る確率偏微分方程式のクラスとしてどのようなものがあるかを調べ、金利が非負であるという仮定の下ではno arbitrageの条件を満たすことを証明した。次に、確率偏微分方程式がマルコフ型である場合を研究した。まず、係数がリプシッツ連続である場合に解の存在し一意であることを証明した。さらに、金利が常に正となるための十分条件を与えた。 金利の非負性を仮定したとき、先物金利がゼロとなる点があったとき、金利のゼロ点がどのように伝搬するかについて研究し、先物金利がゼロとなる時、no arbitrageの仮定の下ではその先物金利は満期までゼロにとどまることを示した。また、拡散項に対するある条件の下では先物金利のゼロ点が拡大していくことを示した。これらの結果は、金利は常に正であると仮定することが現実的であることを示している。 このようなモデルにおいて現実のデータからどのように統計的にパラメータを推定するかについての研究、係数がリプシッツ連続性を持たない場合の解の存在と一意性に対する研究は今後の課題として残った。
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[Publications] Kusuoka S.: "A remark on American Securities" Ito's Stochastic Calculus and Probability Theory. 213-231 (1996)
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[Publications] Matano H.: "The Global Attractor of Semilinear parabolic equations on S^1" Discrete and Continuous Dynamical Systems. 13. 1-24 (1997)
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[Publications] Osada H.,: "Dirichlet Form Approach to Infinite Dimensional Wiener Processes" Communications in Math.Phys.176. 117-131 (1996)
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[Publications] Osada H.: "Long Time Estimators for Transition Probabilities" Probability Theory and Mathematical Statistics. 396-402 (1996)