1996 Fiscal Year Annual Research Report
確率解析とそのシュレディンガー作用素の解析への応用
Project/Area Number |
08640267
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 裕行 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (00190538)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 潤也 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (20235352)
森本 宏 名古屋大学, 情報文化学部, 助教授 (20115645)
小沢 正直 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (40126313)
井原 俊輔 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (00023200)
伊藤 正之 名古屋大学, 情報文化学部, 教授 (60022638)
|
Keywords | シュレディンガー作用素 / 準古典極限 / 直交多項式 / 跡項式 |
Research Abstract |
今年度はユークリッド空間上のシュレディンガー作用素に対する準古典極限の問題およびそこで必要となる2次のハミルトニアンのスペクトルに関して研究した。またリーマン面のスペクトルを調べるためのセルバーグ跡公式について研究した。 シュレディンガー作用素に対して固有値、固有関数、散乱行列などの特性量のプランク定数をパラメーターと考えて0に近づけたときの漸近挙動を調べて対応する古典力学の特性量によって表現する問題を準古典極限の問題というが、今年度は磁場をもつ作用素の固有値に対して研究を進め効果を挙げた。このためには対応する古典力学を決めるハミルトニアンが相空間上の2次の多項式によって与えられる作用素で非負のものが重要になるが、これに対してスペクトルの完全な決定を与えた。またスペクトルが固有値のみからなる場合には固有関数は直交多項式系をなし、エルミート多項式、複素エルミート多項式を含む直交多項式系の族が得られることも示した。以上の研究は2編の論文にまとめて発表した。 またコンパクトなリーマン面上のラプラシアンの固有値が対応する古典力学である測地線によって決定されることを示すのがセルバーグ跡公式であるが、これを確率解析を用いて簡明に再証明した。これにより物理学者の経路積分を用いた跡公式に関する議論が正当化され、理解を一層深めることができる。これは近日中に発表の予定である。さらに一般化されたマ-スラプラシアンに対する跡公式についても同様の考えが適用でき、従来扱うことのできなかった跡公式を示すことが可能かどうか現在研究を進めている。
|
-
[Publications] Hiroyuki Matsumoto: "Quadratic Hamiltonians and associated orthogonal polynomials" Journal of Functional Analysis. 136巻. 214-225 (1996)
-
[Publications] Hiroyuki Matsumoto,Naomasa Ueki: "Spectral Analysis of Schrodinger operators with magnetic fields" Journal of Functional Analysis. 140巻. 218-255 (1996)