1996 Fiscal Year Annual Research Report
反応拡散系における時間発展非一様構造形成の解析的研究
Project/Area Number |
08640310
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
細野 雄三 京都産業大学, 工学部, 教授 (50008877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 久 京都産業大学, 理学部, 教授 (10103714)
辻井 芳樹 京都産業大学, 理学部, 教授 (90065871)
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Keywords | 反応拡散系 / 進行波解 / 最小速度 / 時間空間パターン / ロトカーボルテラ2種競争系 / ケルマック-マッケンドリック伝染病モデル |
Research Abstract |
平成8年度は、非一様構造の形成過程の解析の出発点となる空間1次元問題にたいする定常解および進行波解について、とりわけ、常微分方程式の意味で安定な平衡点と不安定な平衡点をもつ反応拡散系(Lotka-Volterra2種競争系)に対して、その進行波解の速度の性質に焦点をしぼり数値的、解析的研究を行った。この場合には、ある最小速度c^*が存在して、c^*以上の任意の速度をもつ進行波解が存在することが知られている。そして、物理的に重要なあるクラスに属する初期値から出発した解は、最小速度c^*の進行波解に近づくことが数値的に我々の研究で示されている。したがって、この最小速度の性質を調べることはモデル方程式を通して個々の現象を解析する際重要な意味を持つ。実際、物理サイドの研究者(J.D.Murray,N.Shigesadaその他)は、発見的議論により最小速度を求め、それに基づいて議論を行っている。我々は、まず、特異摂動法を用いて極端なパラメータに対して、彼らの用いている発見的議論が成り立つための十分条件を明らかにした。この解析に基づいて、方定式系に含まれるパラメータを現実的な値の範囲で変化させたとき、最小速度がどのように与えられるかを数値的に検討した。その結果、発見的議論が成り立たない例を数値的に与えることに成功した。またこの例は、方程式系に対する進行波解の最小速度が、方程式系に現れるすべてのパラメータに複雑に依存することを示しており、発見的議論の限界を明らかにした。 Kermack-McKendric伝染病モデルと類似した非線形項を反応拡散系にたいして、複雑な時間空間パターンを示す数値実験結果を得ており、来年度の非一様構造形成のメカニズムの解析的研究につなげていく予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Yuzo Hosono: "Travelling wave solutions for a simple diffusive epidemic model" Proc.China-Japan R-D Canference,World Scientific. (1997)
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[Publications] Yuzo Hosono: "The minimal speed of travelling frints for a diffusive Lotka-Volterra competition model" 京都大学数理解析研究所講究録. (1997)
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[Publications] T.Mori,Y.Tsujii and M.Yasugi: "Computabrility Structures on Metric Spaces" Combinatorics,Complexity & Logic,Springer (Proceeding of DMTCS '96). 351-362 (1997)