1997 Fiscal Year Annual Research Report
反応拡散系における時間発展非一様構造形成の解析的研究
Project/Area Number |
08640310
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Research Institution | KYOTO SANGYO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
細野 雄三 京都産業大学, 工学部, 教授 (50008877)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻井 芳樹 京都産業大学, 理学部, 教授 (90065871)
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Keywords | 反応拡散系 / 進行波解 / Kermack-McKendricモデル / Lotka-Volterra競争系 / Dharの砂山モデル / パターン形成 / 特異摂動法 / ヘテロクリニック軌道 |
Research Abstract |
本年度は、拡散を伴うKermack-McKendric方程式にたいして、拡散係数の全ての組み合わせについて、進行波解の存在とその最小速度について幾何学的手法の観点からまとめた。最小速度を持つ進行波解が安定であることは数値的に確かめているが、反応項の退化のため進行波解の安定性の解析的な議論を困難にしており、今後の研究課題として残されている。また、我々は、三村-坂口-松下により提案されたバクテリアのパターン形成モデルが、Kermack-McKendric方程式に現れる非線形項と同じ退化性を持つことに注目しその進行波解の存在を数値的に検討した。さらに、我々の開発した幾何学的手法の適用可能性を論じた。このモデル方程式の数値計算では、複雑な時間空間パターンを示す結果も得られており、進行波解の不安定化の観点から解析すべく、4次元常微分方程式のヘテロクリニック軌道の数値的考察を行った。これらの結果はまだ端緒的であるが、得られた数値実験結果の整理と解析結果の考察により今後の研究の進展の基礎ができたと考えられる。 また、常微分方程式の意味で安定な平衡点と不安定な平衡点をもつ場合のLotka-Volterra2種競争系の進行波解の存在とその最小速度については、特異摂動法をはじめとする解析に基づいて、方程式系に含まれるパラメータを現実的な値の範囲で変化させたとき、最小速度がどのように与えられるかを解析的、数値的に検討し、これまで用いられてきた発見的議論が成り立たない例を数値的に与えることに成功した。 反応拡散系と関係する離散モデルである自己組織化臨界状態を示すDharによる砂山可換モデルについて、その数学的な裏付けを与えること、および有限状態空間上のオペレータ達に対するreccurent性の抽象的な枠組みを与えることに成功した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yuzo Hosono: "Travelling wave solutions for a simple diffusive epidemic model" Reaction-Diffusion Equations and Their Applications and Computational Aspects,World Scientific,Singpore.
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[Publications] Yuzo Hosono: "The minimal speed of travelling fronts for a diffusive Lotka-Volterra competion model" 京都大学数理解析研究所講究録. (1998)
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[Publications] Yuzo Hosono: "The minimal speed of travelling fronts for a diffusion-competition model of Lotka-Volterra type" Bulletin of Mathematical Biology. 60. 1-14 (1998)
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[Publications] T.Mori,Y.Tsujii and M.Yasugi: "Computability structures on metric spaces" Combinatorics,Comlexity and Logic(Proceedings of DMTCS'96). (Springer). 351-362 (1997)