1996 Fiscal Year Annual Research Report
空間多次元領域に於けるある反応拡散方程式が持つパターンの安定性について
Project/Area Number |
08640317
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Research Institution | Hiroshima Kokusai Gakuin University |
Principal Investigator |
辻川 亨 広島電機大学, 工学部, 講師 (10258288)
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Keywords | chemotaxis / localized pattern / interface equation / singular perturbation |
Research Abstract |
我々は、走化性(ある化学物質の濃度勾配を感知して集合する)を持つ生物の固体群密度の時間・空間変化を記述する反応拡散方程式(増殖項を含むKeller-Segel方程式の拡張形)を提唱し、これを数値的、解析的に研究した。研究の目的は、走化性の強さを示す感度関数の形に依存した生物の集合領域のパターン形成を2次元平面領域で考察することである。この方程式の特徴として、生物の拡散と走化係数は化学物質のそれに比較して十分小さい。この比をパラメーターとして導入することにより、理論的解析が可能となる。即ち、パラメーターを0にしたとき、反応拡散方程式からある種の界面方程式が得られる。この方程式について、軸対称(集合領域が円)定常解は走化性が適当に強い場合のみ存在することを示した。また、反応拡散方程式の定常解の存在は特異摂導法を用いて示され、解の極限形は界面方程式のそれと一致する。数値計算により、走化性の効果が強い場合、対称パターンは縮小して消滅し、小さい場合は際限なく拡張し、何れの場合も(安定な軸対称)定常解は存在しない。一方、安定性については、界面方程式に対して定常解のまわりでの線形化解析を行うことにより、適当なパラメーターで解が不安定化することを得た。この場合、感度関数の形に結果は依存する。その上、数値計算により不安定化した後のパターンについて、感度関数の依存性は顕著である。走化性が化学物質の濃度とその勾配に適当に関係している場合、過冷却状態での凝固現象に見られる先割れが現れる。しかし、このパターンは時間的に変化してネットワークパターンへと発展していく。この現象の理論的研究はこれからの課題である。また、この数値計算で用いたスキームが最適であるかどうかの検証も必要である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 三村昌泰・辻川亨: "Aggregating pattern dynamics in a chemotaxis model including growth" Physica A. 230. 499-543 (1996)
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[Publications] 辻川亨: "Singular limit analysis of planar equilibriau solutions to a chemotaxis model equation growth" Methods and applications of analysis. 3(未定). (1996)