1996 Fiscal Year Annual Research Report
コモンエンベロープエボルーションの3次元流体力学計算
Project/Area Number |
08640321
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
蜂巣 泉 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教授 (90135533)
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Keywords | コモンエンベロープ(共通大気) / 連星系 / 流体力学 / 超軟X線源 / 恒星風 / 吸収係数 / 超新星 |
Research Abstract |
本年度は、コモンエンベロープエボルーションの計算に使う計算機コードの開発を行った。1次元および、2次元の計算コードの作成には成功したが、まだ3次元のコードの完成には至っていない。2次元コードの作成において本質的に困難な点は無かったので、3次元化についても問題は少ないと考えられる。 上記の点以外に、質量降着白色矮星からの恒星風が連星系の進化において非常に重要な役割を果たすことを示した。これは、最近の新しい吸収係数の計算結果に基づき、伴星から質量降着がある白色矮星から非常に強力な恒星風が吹くことを明らかにしたこと。さらに、伴星からの質量移動率が恒星風のために大きく変動を受けることを示すことができた。この効果を考慮して、大マゼラン雲に発見された、超軟X線源RX J0513-69の非常に奇妙なふるまいを完全に説明することができた。このことは、伴星から白色矮星への質量降着と、白色矮星からの恒星風が共存できることを実際の天体に関して実証できたことを示している。私たちは、昨年度にIa型超新星の新しい進化モデルを提案したが、その中で、白色矮星からの恒星風と白色矮星への質量降着が共存すると、白色矮星と小質量赤色巨星の連星系がIa型超新星の親星になり得るとの結論を得ていた。このモデルの問題は、質量降着と恒星風という、一見すると相矛盾する現象が実際の系で起きているのか、という点であったが、RX J0513-69の存在はこの疑問に対する宇宙からの回答となっている。
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[Publications] I.Hachisu,M.Kato,K.Nomoto: "A New Model for Progenitor Systems of Type Ia Supernovae" The Astrophysical Journal. 470-. L97-L100 (1996)
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[Publications] I.Hachisu,M.Kato,K.Nomoto: "A New Model for Progenitor of Type Ia Supernovae and Its Relation to Supersoft X-Ray Sources" “Supersoft X-Ray Sources"(Springer;Berlin). 205-213 (1996)