1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640334
|
Research Institution | National Astronomical Observatory |
Principal Investigator |
木下 宙 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 教授 (00012857)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 春夫 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助教授 (70220663)
中井 宏 国立天文台, 天文情報公開センター, 助手 (60155653)
|
Keywords | カイパーベルト / 平均運動共鳴 / 永年共鳴 / 古在共鳴 |
Research Abstract |
軌道長半径が35AU(海王星の軌道長半径)より大きいカイパーベルト天体は本年はじめの時点でほぼ100個も発見されている。昨年度は共鳴関係にないカイパーベルト天体の古在共鳴を調べたが、本年度は多種ある平均運動共鳴の中で海王星との(p:p+1)共鳴にあるカイパーベルト天体の運動を重点的に調べた。臨界引数が90度近傍を振動する2:1平均運動共鳴を除き平均運動共鳴の臨界引数は180度の周りを振動する。これは小惑星帯の平均運動共鳴(p+1:p)の臨界引数が0度の周りを振動するのとは異なる点である。また平均運動共鳴にあって同時に古在共鳴や永年共鳴が重なって起こる多重共鳴領域を半解析的に求め、数値計算によって確かに存在しうることを確かめ、それらの軌道安定性をも調べた。 また本年度は巨大惑星(木星、土星、天王星)の摂動をも考慮して平均運動共鳴近傍に異なる初期条件の多数(数万体)のカイパーベルト天体を配置し、それらの時間発展を500万年にわたって追跡し、大局的な運動の安定性を調べた。長期安定な軌道群の挙動は上記に述べた半解析的理論の予想とかなりよい一致を示した。しかし上記理論からは予想されなかった興味ある現象が見つかった。それは平均運動共鳴領域内にいた天体が共鳴領域の外に出る現象と、逆に平均運動共鳴領域外にいた天体が平均運動共鳴に捕獲される現象である。このような現象は海王星だけを摂動天体とする制限3体問題の範囲内では起こらなくて、実在する巨大惑星による摂動の効果である。巨大惑星の中で天王星が最も大きな寄与をしていることを数値積分によって確かめた。このような平均運動共鳴領域を出たり入ったりする現象の時間スケールは非常に長く、その全貌をつかむためにはもっと長期間の数値積分の実行が必要であり、その理論的解明が必要である。この問題は、カイパーベルトから惑星領域へ短周期彗星群を供給するメカニズムとも関連していて、これからの重要な課題である。
|
-
[Publications] T. Fuse, H. Kinoshita, H. Nakai: "Improved MVSI and Its Application to Dynamics in the Solar System" Proceedings of 30th Symposium on Celestial Mechanics. 30. 255-259 (1998)
-
[Publications] M. Folgueira, J. Souchay, H. Kinoshita: "Effects on the Nutation of the Non-Zonal Harmonics of Third Degree" Celest. Mech.69. 373-402 (1998)
-
[Publications] M. Folgueira, J. Souchay, H. Kinoshita: "Effects on the Nutation of C4,m and S4,m Harmonics" Celest. Mech.70. 147-157 (1998)
-
[Publications] J. Souchay, H. Kinoshita: "The theory of the nutation for a rigid Farth model:current state of the situation" Highlights of Astronomy.11(in press).
-
[Publications] J. Souchay, J. Loysel, H. Kinoshita, M. Folgueira: "Corrections and New Indirect Development in Rigid Nutation Theory: III." Astron. Astrophys. Suppl. Ser.135. 111-131 (1999)
-
[Publications] H. Kinoshita, H. Nakai: "Analytical Expression of the Kozai Resonance" Proceedings of 31th Symposium on Celestial. 31(in press). (1999)