1997 Fiscal Year Annual Research Report
銀河の階層的形成シナリオに基づく宇宙初期の化学進化
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08640336
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Research Institution | National Astronomical Observatory |
Principal Investigator |
辻本 拓司 国立天文台, 位置天文・天体力学研究系, 助手 (10270456)
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Keywords | 楕円銀河 / 超新星 |
Research Abstract |
楕円銀河がいつどのように形成され、また現在に至るまでにどのような進化をたどってきたのかという問題は、現在多くの天文学者の抱える最大の関心事の一つである。特に、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)やケック(KECK)望遠鏡によって深い領域にわたる観測が飛躍的に進歩しその問題への解決が期待されているが、まだ「楕円銀河の形成・進化」モデルの確立には至っていない。本研究では楕円銀河におけるIa型超新星頻度率の歴史が、楕円銀河の星形成史と密接な関係にあることに着目し、これまでとは全く異なる観点から、楕円銀河の形成・進化の決定を試みた。 我々は、現在(z=0)でのIa型超新星頻度率(Van den Bergh & Tammann 1991)とz〜0.4(約40億年前)での頻度率を観測から押えることができる。さらに、現在も星形成が行なわれている渦巻銀河での現在の頻度率から、楕円銀河の星形成終了時の頻度率を評価でき得る。よって、我々は現在(z=0)、z〜0.4、及び星形成終了時の3時点でIa型超新星頻度率を決定することができるのである。しかも、非常に興味深いことにこの3時点での頻度率はほぼ等しい。この事実が、楕円銀河の形成モデルに大きな制限をつけることになる。もし、楕円銀河の星形成が100億年以上前に終了していたならば、現在に至るまで100億年以上にわたってIa型超新星の頻度率がほとんど変わらないということになる。これは、Ia型超新星親星の連星系モデルでは説明することはできない。よって、楕円銀河の標準形成モデル、つまり「ハッブル時間前のバースト的星形成+受動的進化」モデルは否定せざるを得ない。Ia型超新星親星の連星系モデルは星形成終了時がz〜0.4前後当たりに対応することを要求する。つまり、楕円銀河では星形成が数10億年前まで続いていたことが示唆されるのである。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takuji Tsujimoto: "The Absolute Magnitude of RR Lyme Stars Derived from the Hipparcos Catalogue" The Astrophysical Journal Letters. 492. L79-L82 (1998)
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[Publications] Takuji Tsujimoto: "A New Approach to Determine the Initial Mass Function Deduced from the Chemlcal Evolution" The Astrophysical Journal. 483. 228-234 (1997)