1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640338
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
野口 邦男 国立天文台, 光学赤外線天文学研究系, 助教授 (10111824)
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Keywords | 漸近分枝星の進化 / 炭素星 / M型星 / 銀河内分布 |
Research Abstract |
本研究は、漸近分枝星(Asymptotic Giant Branch Stars:AGB星)の進化を、我々の銀河内でのAGB星の分布と関係づけて明らかにしようと試みるものである。我々は、銀河内の広域的な場所の違いによって、AGB段階の二つの主要なグループとなっている炭素星とM型星の存在比が異なっており、それぞれのグループのAGB星の進化の経路に違いがあると予測している。これを観測的に明らかにするためには炭素星およびM型星の距離を調べ、二種の星それぞれの空間分布を比較するのが良い。我々は、炭素星のエネルギーの大部分が放出されている赤外域の観測を行なって炭素星から地球に到達している全エネルギーを観測データによって評価し、星の距離を推定してきた。この距離のデータを基に、銀河内での炭素星の広域的な分布を調べた。約700個の炭素星に対する我々自身の観測データと共に、他の研究者のデータも蓄積する事によって、合計1800個以上の炭素星の分布データを得た。一方、M型星の分布は、IRAS衛星によって得られている約7万個の星の測光データを解析することによって、銀河内での分布を調べた。M型星の銀河内での分布は、銀河中心への集中が著しく、しかも質量放出の激しい星ほど中心集中の強いことが明らかになってきた。一方、炭素星は銀河中心付近には少なく、従って、太陽系近傍から反中心方向へ行くにつれて炭素星の割合が大きくなっている。炭素星とM型星の銀河内での分布に差のあることが明確になってきた。データを一層積み上げて両者の分布の違いの特徴を更に明確にし、星の進化の上で、何が原因となってこのような分布の差が生じているのか、本研究の継続する次年度には星の進化との関連で解明していきたい。
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