1996 Fiscal Year Annual Research Report
複素座標スケーリング法による原子核における共鳴状態の研究
Project/Area Number |
08640340
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
加藤 幾芳 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (20109416)
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Keywords | 共鳴状態 / 複素座標スケーリング法 / E1和則値 / ソフト・ダイポール励起 / クーロン分解反応 |
Research Abstract |
本研究課題の2つの目的: 1)複素座標スケーリング法で得られた共鳴状態および連続状態の波動関数を用いた物理量の計算方法の確立と^6He核におけるE1遷移の分析を行う、 2)複素座標スケーリング法を用いた多チャンネルあるいは多体系における共鳴状態の部分巾の分析方法を確立させる、 のうち、本年度は(H.8)は課題1)を実施するめたにワークステーションのメモリーとハードディスクを増設し、以下に述べる結果と成果を得た。 i)2体問題における共鳴状態の期待値、遷移確率の解析を行った。 通常の結合状態と異なり、共鳴状態はそのノルムが有限ではなく、各種物理量に対応する演算子の期待値や遷移確率を記述する行列要素は通常用いられる積分では求められない。それに対して、複素座標スケーリング法を用いるとそれらが曖昧さなく求められることを示した。また、それらの値が精確に得られていることを和則値を計算することによって示された。 ii)2体問題における連続状態から束縛状態への遷移確率の分析を行った。 iで得られた連続状態からの遷移確率が共鳴状態からの遷移であらわされるということを用いて、連続状態からの遷移確率を複素座標スケーリング法で計算できることを具体的ポテンシャルのもとでE1遷移確率を計算して確かめた。 iii)^6He核の遷移強度分布の分析。 ^6He核の^4He+n+n共鳴状態を巾の広い解まで求めることを試みた。その結果、複素座標スケーリングされた連続状態について行列要素を求めることの重要性が明確になった。 以上の研究成果の一部はH8年6月3-7日大宮市で開催された国際会議(The Fourth Int. Conf. on Radioactive Nuclear Beams)のポスターセッションで報告・発表された。また、i), ii)の課題についてはその成果が論文として公表された。
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[Publications] G. Filippov: "^6He as a Three-Cluster System--Investigation of the Ground State and Continuum 0^+ States--" Progress of Theoretical Physics. 96・3. 575-595 (1996)
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[Publications] K. Kato: "Resonance States in the ^<12>C-^<12>C Morse Potential" Physical Review C. 55・4 印刷中. (1997)
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[Publications] M.Homma: "Matrix Elements of Physical Quantities Associated with Resonances" Progress of Theoretical Physics. 97・4 印刷中. (1997)
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[Publications] S.Aoyama: "Resonance States in ^9He and ^<10>He" Physical Review C. 55 (印刷中). (1997)
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[Publications] M.Hirano: "A Phenomenorogical Analysis of Open Channel Effects on the Bottomonium Spectrum" Journal of Hokkaido University of Education (Section II A). 49・2. 7-21 (1997)