1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640353
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江口 徹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (20151970)
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Keywords | 弦理論 / 位相的場の理論 / インスタントン / ビラソロ代数 / 量子コホモロジー |
Research Abstract |
第一量子化された弦理論は2次元のworld-sheet上で定義された非線型シグマ模型と考えられる.この時ストリングが運動する空間Mはtarget spaceと呼ばれる.非線型シグマ模型ではworld sheet Σ_g(種数gのリーマン面)からtarget space Mへの任意の写像を考えるが,この写像が特に正則である場合はworld-sheet instantonと呼ばれ理論に非摂動的的な寄与を与えるために重要である.World-sheet instantonの振幅はリーマン面Σ_gの種数と写像の巻き付き数(インスタントン数)dに依存する.Instanton振幅はMがCalabi-Yau多様体の場合,またCP^Nの様なFano多様体の場合にg=0,1などの低い種数に限って部分的な結果が知られていた.しかし弦理論の非摂動的な分析には全ての種数gとインスタントン数dについてたしあげた振幅を厳密に求める必要がある. 江口は今年度堀,Xiongと共に全インスタントンをたしあげた分配関数Zが無限個の微分作用素L_nによって同時に消される事, L_n=0, n=-1,0,1,2... (1) 又,これらのオペレータがビラソロ代数の交換関係を持つ事を発見した.ビラソロ代数の中心電荷は多様体Mのオイラー数_X(M)に等しい.ビラソロ条件(1)を解くことによりg=0やg=1の場合に実際に知られたインスタントン振幅を再現できる事が分かる。World-sheet instantonを決定する問題は幾何学の分野においてはquantum cohomologyと呼ばれ重要な研究対象となっている.ビラソロ条件の提唱はこうした分野の研究にも大きなインパクトを与えた. 我々が見いだしたビラソロ条件は以前2次元重力理論で知られていたビラソロ条件の自然な拡張になっており,多様体Mが一点になる極限で2次元重力の結果を再現する. 江口はまた秦泉寺,Xiongと共にビラソロ作用素を自由ボソンとフェルミオンの場を用いて表わした.この結果CP^Nなど第一チャーン類が正c_1>0の多様体の場合にはworldo-sheet instantonの空間に変形されたカレント代数の対称性が存在し,変形された菅原構成によってビラソロ代数が構成される事が分かる.またCalabi-Yauと多様体の様に第一チャーン類が消えるc_1=0の場合にはカレント代数の対称性が変形を受けずそのまま存在する. 江口は更にXiongと共に,genusが高い時の位相的漸化式を求めビラソロ条件を用いてg=2.3のインスタントン振幅を決定した.
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[Publications] T.Eguchi: "Quantum cohomology and free-field representation." Nuclear Physics B. 510. 608-622 (1998)
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[Publications] T.Eguchi: "Quantum Cohomology and Virasoro Algebra." Physics Letters B. 402. 71-80 (1997)
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[Publications] T.Eguchi: "A New Description of the E_6 Singularity." Physics Letters B. 394. 315-322 (1997)
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[Publications] T.Eguchi: "Gravitational Quantum Cohomology." Int.Journal of Modern Physics A. 12. 1743-1782 (1997)
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[Publications] T.Eguchi: "Study of N=2 Superconforma,Field Theories in 4 Dimensions." Nuclear Physics B. 471. 430-444 (1996)
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[Publications] T.Eguchi: "Prepotentials of N=2 Supersymmetric Gauge Theories and Soliton Equations." Modern Physics Letters A. 11. 131-138 (1996)