1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640370
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小玉 英雄 京都大学, 基礎物理学研究所, 教授 (40161947)
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Keywords | 一般相対論 / 量子重力 / 正準理論 / 完全拘束系 / 局所一様時空 |
Research Abstract |
本年度は研究計画に従って、主に有限自由度重力系について研究し、次のような成果を得た。 1.(2+1)次元重力系:4次元局所一様時空のダイナミクスを調べる準備として、空間が2次元トーラスとなる場合に対して、3次元局所一様時空に対する微分同相変換で不変な状態空間の構造を調べ、それがレンズ空間型の軌道体特異点を持つことを示した。 2.4次元局所一様時空(古典論):4次元局所一様時空に対する微分同相変換不変な位相空間の一般的な構成法を、サ-ストンの定理を基礎として、普遍被服空間上の正準データとモジュライの分類という視点から与え、空間が3次元トーラスとなる場合に対して、位相空間を具体的に構成した。それにより、位相空間が、3次元局所一様系と同様、レンズ空間型の軌道体特異点を持つこと、その上の正準構造がVII(0)型の場合モジュライ自由度の部分で退化することを確認した。このことは、すでに東工大のグループにより示されているが、さらに、この退化する自由度がモジュライ変数のうち、局所一様群を保存しないモジュライの変形の自由度と一致すること、また、それらが時空の局所一様性の保存という外的な整合性条件で決まることを示した。これは、局所一様系が正準的に閉じていないことを意味している。 3.4次元局所一様時空(量子論):トーラス上の局所一様系より得られる完全拘束系の量子論を構成し、最近提案した新しい定式化を用いてそのダイナミクスを調べた。まず、ハミルトン拘束作用素がもっとも自然なラプス関数に対して無限個の自己共役な拡張を持つことを示し、各自己共役な拡張に対して、スペクトル分解を用いて対応する物理的非因果部分空間とその間の因果写像を決定した。特に、新しい定式化では、通常の波動関数に当たる量がWheeler-DeWitt方程式の解とはならず、その超関数的極限となることを見いだした。 以上の成果については現在論文を作成中である。また、これらと平行して、インフレーション宇宙モデルでのゆらぎの進化、およびブラックホール熱力学についての研究を行い、成果を論文として発表した。
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[Publications] H.Kodama and T.Hamazaki: "Evolution of cosmological perturbations in a stage dominated by an osillatory scalar field" Prog.Theor.Phys.96巻5号. 949-970 (1996)
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[Publications] T.Hmazaki and H.Kodama: "Evolution of cosmological perturbations during reheating" Prog.Theor.Phys.96巻6号. 1123-1145 (1996)
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[Publications] 小玉英雄: "相対性理論" 培風館, 310 (1997)