1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640380
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
田澤 輝武 山口大学, 理学部, 教授 (80091198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝川 昇 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00125600)
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Keywords | 非断熱遷移 / ポテンシャル共鳴 / 重イオン核融合反応 / 量子トンネル効果 / 表面振動 / 非調和振動 / 原子クラスター |
Research Abstract |
(1)ポテンシャル共鳴と非断熱遷移の課題の現状は以下の通りである。半古典散乱理論を2準位チャネル問題に拡張し、エネルギーを変数として、複素転回点の位置を計算するプログラム、複素転回点間の作用積分を計算するプログラム、各チャネルでのポテンシャルポッケトでの作用積分から共鳴点を探すプログラムなどを作成し、非断熱遷移がポテンシャル共鳴に及ぼす効果を調べている。非断熱遷移がS行列要素S_<11>にほとんど効果が見られないが、S_<12>には共鳴的な影響が現れる、あるいは、ポテンシャル共鳴の位置と幅に効果をもたらすことを想定して、模型的な事例を探究している。 (2)巨視的トンネル現象の解明については、以下の通り大きな成果を得ている。クーロン障壁以下での^<64>Ni+^<92.96>Zr核融合反応に対する表面振動の効果を結合チャネル法を用いて解析し、この高次の効果が励起関数などの種々の実験データを説明する上で非常に重要であること、また、非対称性の大きな系^<16>O+^<112>Cdにおいても高次の結合効果が重要であること、さらに、^<16>O+^<144>Sm核結合反応の相互作用するボゾン模型を用いた詳細な解析で、核融合の障壁分布の実験データを再現するには、非調和振動効果を考慮することが必要不可欠であること、逆に、核融合反応の障壁分布の解析を通して、原子核変形の符号に対する情報が得られることなどを示した。 (3)他の系に対する模索の一つは、イオン・原子クラスター衝突、特に多電子移行反応の理論的枠組みの確立を目指して共同研究している。入射イオンの運動を原子クラスター内の電子群に対する時間依存の外場として扱い、TDLDA法を適用することを試み、その計算を物理的に解釈する現象論的取り扱い、半古典論に基づく障壁乗り越え模型を構築中である。また、他の模索として、原子核融合反応における電子が果たす役割について検討中である。
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[Publications] K.Hagino: "Thermal fission rate around superfluid-normal phase tansition" Physical Review C. 53. 1840-1844 (1996)
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[Publications] K.Hagino: "Volidity of the linear coupling approximation in heavy-ion fusion reactions at subbanier energies" Physical Review C. (in press).
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[Publications] N.Takigawa: "Heavy-Ion Fusion Reactions as Machoscopic Quantum Tunneling" Progress of Theoretical Physics Supplement. 124. 1-22 (1996)