1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640415
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
水谷 五郎 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (30183958)
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Keywords | ラマン分光 / Ziegler-Natta触媒 |
Research Abstract |
実際に興味深い現象が起こっている表面界面に対して超高感度のラマン分光解析を行い、興味深い現象のもととなっている表面界面科学現象の抽出および解明をすることを目的に研究を行った。微弱なラマン散乱光を観測するために、明るいシングル分光器とII-CCDを組み合わせた超高感度ラマン分光システムを構築したが、このシステムを用いて咋年度に引き続きZiegler-Natta触媒表面に関する研究を行った。Ziegler-Natta触媒はポリマーの重合に用いられている工業的に極めて重要な触媒であり、その触媒メカニズムを明らかにすることが目的である。 ○触媒原料であるTiCl_3結晶のラマン観測を行った。(1)不純物の混入の少ない製法で作られた試料を用いる、(2)酸素と水分に反応しやすいTicl_3を窒素雰囲気中に保つ、(3)新鮮な表面を出すために適切な条件の試料粉砕を行い、その結晶性をX線回折で確認する、(4)ラマン観測時のレーザー照射による熱的(あるいは光反応による)変質を避けるため弱励起条件にする、などの施策をすることにより、α型TiCl_3結晶のラマンスペクトルを得ることができた。このスペクトルはこれまで報告されてきたスペクトルとは異なったものであったが、実験条件を考慮すると本研究のスペクトルが最も信頼性があると考えられる。この結果は、振動分光を用いた触媒表面の研究にとって重要な基礎データとなる。 ○実験から得られたラマンスペクトルの解析をするために、α型TiCl_3結晶の基準振動解析モデルを立て、コンピューター計算のプログラムを作成した。これを用いて、木研究で得られたα型TiCl_3結晶のラマンピークの帰属を行った。 ○Ziegler-Natta触媒の触媒表面の研究をする上で、よく構造と組成の規定された薄膜状のモデル触媒試料が必要であることが強く認識され、このモデル触媒作成のための超高真空装置の設計を行った。今後は、この装置の構築を行い、モデル触媒の作成とラマン分光によるその場観測の研究を行う予定である。
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