1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640422
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
金城 辰夫 徳島大学, 工学部, 教授 (50035606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森賀 俊広 徳島大学, 工学部, 助手 (90239640)
中村 浩一 徳島大学, 工学部, 助手 (20284317)
岸本 豊 徳島大学, 工学部, 講師 (80201458)
道廣 嘉隆 徳島大学, 工学部, 講師 (00174061)
中林 一朗 徳島大学, 工学部, 教授 (70035624)
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Keywords | リチウム遷移金属酸化物 / イオン導電性 / NMR / スピン・格子緩和時間 / 超微細相互作用 / 静的帯磁率 / デインターカレート / リチウムイオン電池 |
Research Abstract |
研究概要は次の通りである。 1.試料の調製-LiCoO_2,LiNiO_2(以下Co系、Ni系と略称)の粉末試料合成を行い、X線解析によりキャラクタリゼーションを行った。また、Li^+を電気化学的にデインターカレートしたLixNiO_2(X=0.5,0.8)の試料も調製した。これらについて松下電池工業(株)の協力を得た。 2.パルスNMR測定-^7Li核のスピン・格子緩和時間T_1、スピン・スピン緩和時間T_2の温度依存性を10MHzで80K〜700Kの領域で測定した。また、スペクトルの線幅を300K〜700Kで測定した。 3.結果と考察 (1)まず、Co系、Ni系のいずれの試料も緩和率1/T_1は80K〜300Kでは温度と共に緩やかに減少するのに対して、300K以上では急激に減少する。また、測定温度領域全体を通じてNi系はCo系よりほぼ一桁大きい値となった。この振る舞いを静的帯磁率と比較した結果、室温以下ではNi,Coの磁性イオンの影響が大きく、超微細相互作用に基づく緩和であることが分かった。さらに、LiNiO_2については^7Liのナイトシフトの温度変化より、結合定数A_<hf>=0.13kOe/μ_Bを得た。室温以上では、Li^+イオンの拡散による影響が緩和に現われ、その活性化エネルギーをLiCoO_2,LiNiO_2でそれぞれ0.076,0.063eVと評価した。これは一般的な超イオン導電体と比べて非常に小さく、この系での高いイオン導電率と符合する。 (2)室温以上で、スペクトルの線幅を測定し、Li^+イオンの運動による線幅の狭まりを確認したが、定量的な議論には至らなかった。以上の結果については日本物理学会等で3件の報告を行った。
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