1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640430
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石田 浩 日本大学, 文理学部, 講師 (60184537)
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Keywords | 固体表面 / 電子状態 / 第一原理計算 / 密度汎関数法 / 擬ポテンシャル / 平面波基底 / エムベッティング法 / グリーン関数 |
Research Abstract |
本研究の目的は、半無限固体表面の電子状態を密度汎関数法の範囲の第一原理から計算する方法を開発することである。本年度はInglesfieldの埋め込み(embedding)法とノルム保存型のイオン擬ポテンシャルを組合せて、面内には2次元並進対称性を持つ半無限固体の電子状態計算プログラムを完成させた。計算は、(1)3次元結晶の電子状態から半無限下地の埋め込みポテンシャルを生成する、(2)表面層のハミルトニアンに埋め込みポテンシャルの行列要素を加えて表面グリーン関数を自己無撞着に計算するの独立な2段階から成る。この際、工夫したのは次の点である。表面と下地領域を分割する埋め込み表面は、擬ポテンシャルが非局所的なイオン殻内に入ってはならない。よって真の埋め込み面はイオン殻を避けて複雑に湾曲するが、そのような曲面上の埋め込みポテンシャルを数値的に表現するのは難しい。我々は、最近CrampinらがLAPW基底の埋め込み法で提案した方法を更に発展させて、上記(1)、(2)の全過程において湾曲した埋め込み面を全く意識せず、等価な埋め込み平面を用いて計算できる方法を開発した。この方法は、擬ポテンシャルと平面波的基底関数を組合せた方法では大幅な計算量減少となる。応用例として、まず清浄Al(lll)表面の電子状態を計算し、以前の半無限計算と一致する結果を得た。次に被覆度1/3でのK吸着Al(lll)面の電子状態をオントップ吸着(低温)と置換型吸着(室温)の両原子配置について計算し、通常の薄膜近似計算では得られないK4s共鳴準位の幅とエネルギー分散関係を調べた。置換型吸着では、下地AlとK軌道との重なり積分が増大し、K吸着層の2次元金属的な性質が弱まることが判った。これら計算手法と計算結果をまとめた第一論文は現在投稿中である。補助金は申請の通りAlpha互換パソコンの購入に充て、計算コード開発、数値計算の多くがこの上で行われた。
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Research Products
(1 results)