1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640430
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
石田 浩 日本大学, 文理学部, 助教授 (60184537)
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Keywords | 表面グリーン関数 / 表面電気抵抗 / エムベッティング法 / 密度汎関数法 / 第一原理計算 |
Research Abstract |
今年度の主要な成果は、平成8年度に開発した半無限固体表面の電子状態計算コードを用いて、単純金属の清浄結晶表面の絶対零度での電気抵抗を第一原理から計算したことである。半無限金属表面の電気抵抗の一般公式によれば、電気抵抗はフェルミ面上の伝導電子が表面で散乱される時の面内の速度変化とその散乱確率でのみ決まる、つまり半無限系電子の波動関数がわかればよい。昨年度開発した計算コードは表面グリーン関数を計算するもので、結晶内部の無限遠方での境界条件が異なる波動関数を直接計算できない。そこでエムベッティング法の考え方を応用して半無限系波動関数の散乱振幅を計算する方法を新たに開発した。欠陥のない完全結晶表面では伝導電子が表面で散乱される時、面内の結晶運動量は保存する。しかし2つの機構により有限の電気抵抗が生じる。(I)LEEDの類推で、等しい面内結晶運動量を持った2つ以上の散乱波が存在する場合(Umklapp過程)。これは複数のエネルギーバンドが占有される多価金属で起こる。(2)結晶内部に表面に対応する結晶面に関する鏡映対称性がない場合。例えばfccの(111)面では伝導電子が表面で散乱される時、散乱ポテンシャルが弱くても鏡面散乱方向に伝播するBloch状態が存在しないため、面内の速度が必ず変化して電気抵抗が生じる。この第2の機構により計算で得られた清浄Al(111)表面の電気抵抗はAl(001)表面の電気抵抗より6倍も大きくなる。これは原子密度の高い平らな表面ほど電気抵抗が小さいという従来の直感的理解を覆す。以上の結果をPhysical Review B誌に出版した。今年度のもう一つの課題は、遷移金属表面等を計算できるよう表面グリーン関数の計算コードを拡張することである。現在、その前提となる3次元結晶の電子状態を計算するコードを開発中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] H.Ishida: "Surface-embedded Green function using nonlocal pseudopotentials" Surface Science. 388. 71-83 (1997)
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[Publications] H.Ishida: "Surface resistvity of semi-infinite crystals" Physical Review B. 57. 4140-4144 (1997)