1996 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導体ギャップ測定のトンネル効果による再現性の確立
Project/Area Number |
08640436
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
國井 曉 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10004368)
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Keywords | 超伝導 / 超伝導ギャップ / トンネル効果 / ポイント・コンタクト |
Research Abstract |
トンネル分光法はポイント・コンタクト法によって対象物質を選ばずに、全てのバルク物質を対象となし得る。しかしその再現性に関しては多くの難問が存在することも又事実である。筆者はこのため、表面の清浄化と針圧による圧力の回避を目的に、回路を自動化した装置を開発した。これによって、LaB_6のようなポイント・コンタクトの接触面積に比べ電子の平均自由工程の大きな物質では再現性良くフォノンの低エネルギー励起を観測できることをあきらかにしてきた。しかし依然超伝導体ギャップに関してその再現性に疑問がもたれる。この超伝導体のギャップに関する問題点を整理・解決することが本研究の目的である。その目的に沿って本年度はトンネル効果測定装置の改良組立と基準物質による装置調整に主眼を置いて研究が進められた。超伝導体に於ては接合のサイズ(基準は位相コヒーレンス長)に依存して、excess currentやsubharmonic gap structureが生じてくる。そこで接合のサイズを変化させ、更に検出シグナルの位相に関したベクトル不平衡を完全に無くすことを試みた。このため、2位相出力発振器を使い、不要な不平衡電圧の完全な除去と、位相変化がどこでどのようにおきているかの検出とその補償を行うことを試みた。2位相出力発振器は互いに位相を0.1°毎に360°変化でき、独立に位相及び出力を変えられる。これまでは零点調整は精密可変抵抗減衰器のみによって行われていたため、場合によって系の位相を制御できず、超伝導体では特に大きくずれた状態での測定を余儀なくされ、不安定な再現性の悪いシグナルあるいは幽霊シグナル出現の原因となっていた。上述のやり方により、完全なバランスを取ることができ、試料に由来するものと、回路系に由来するものとを分けて位相変化の補償を行うことに成功しつつある。
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[Publications] S.Kunii: "Dense Kondo behavior and many other effects in metallic point-contact of rare-earth hexaborides." Physica B. 218. 181-184 (1996)
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[Publications] M.Sera: "Thermal conductivity of RB_6 (R=Ce, Pr, Nd, Sm, Gd) single crystals." Phys.Rev. B. 54. R5207-5210 (1996)
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[Publications] S.Fujimori: "A Photoemission Study of Ultrathim Uranium Layers on Noble Metals." J.Electron Spectrosc. Relat. Phenom.78. 155-8 (1996)
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[Publications] S.Nakamura: "Ultrasonic investigation of quadrupolar response in Kondo system Ce_xLa_<1-x> B_6." Physica B. 219&220. 89-91 (1996)
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[Publications] S.V.Demisher: "Magneto-Optical Microwave Spectroscopy of the Coherent Magnetic State in the Mixed Valence Compound SmB_6 in the Frequency Range 40-120GHz" Pris′ma v ZhETF. 64. 707-712 (1996)
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[Publications] M.Sera: "Quadrupolar interaction in NdB_6 studied by magnetostriction." J.Phys-Soc. Japan. 66. 5501-4 (1997)