1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640455
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
細糸 信好 京都大学, 化学研究所, 助教授 (30165550)
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Keywords | 非磁性層の磁性 / 磁気分極 / 振動的交換相互作用 / ^<119>Snメスバウア分光法 / 金属人工格子 / Fe / Au / Co / Au / Ni / Au |
Research Abstract |
金属人工格子中で強磁性層が非磁性層の電子状態に及ぼす影響を調べるため超高真空蒸着法を用いてM/Au(M=Fe,Co,Ni)人工格子を作製した。Au層中に位置を変えてメスバウア元素である。^<119>Snをプローブとして半原子層程度挿入し、強磁性層がAu電子状態に及ぼす影響を調べた。 Co膜厚を20Åにした場合、Au膜厚d_<Au>が20Åを境界としてAu層の磁気分極の様子が大きく異なった。d_<Au>【less than or equal】20Åでは、Au層の中心部でSnプローブは最大160kOe、平均50〜70kOe程度の大きな内部磁場を示す。更にCo-Au界面での平均内部磁場に対するAu中心部での平均内部磁場の比は80%程度である。以上の結果は、d_<Au>【less than or equal】20ÅではAu層が平均的にはほぼ一様に磁気的に分極されていることを示す。d_<Au>>20Åでは、磁気分極は界面から内部に向かって減少し、大きな磁気分極が存在するのは、界面から10Å程度である。しかも、界面の平均内部磁場はd_<Au>【less than or equal】20の場合の65%程度であり、磁気分極の大きさもかなり減少している。Co膜厚が薄い場合は、Au層の磁気分極は減少するが未だ系統的な研究は行ってい 磁性層の膜厚を20Åにして磁性層の種類を変えた場合、Au中心部での磁気分極を比較するとFe/Au系では磁気分極はd_<Au>に対して単調に減少する。これに対して、Ni/Auでは磁気分極の大きさはd_<Au>関係なくほぼ一定である。平均内部磁場の大きさは、d_<Au>【less than or equal】20Åでは、H_<Co>>H_<Fe>>H_<Ni>の順であり、d_<Au>>20ÅではH_<Fe>>H_<Co>>H_<Ni>である。 Fe/Au系で磁場中のメスバウアスペクトルの測定から、Fe層がAu層中につくる内部磁場は、Fe磁気モーメントの方向に対して正負両方あることが分かった。これは、磁気分極の空間分布が振動的であることを示唆する。
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[Publications] T.Emoto,N.Hosoito,T.Shinjo: "Spin Penetration in Au Layers:^<119>Sn Mossbauer Study of Co/Au Multilayers" Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 156. 47-48 (1996)
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[Publications] N.Hosoito,K.Mibu,T.Ono,T.Emoto,T.Shinjo: "Relationship between Magnetoresistance Change and Antiparallel Magnetization Estimated by Neutron Diffraction in Giant Magnetoresistance Systems" Journal of Magnetism and Magnetic Materials. 156. 325-326 (1996)
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[Publications] S.Hamada,N.Hosoito,T.Shinjo: "Local Spin Polarization in Au Layers of Co/Au(111)Multilayers by ^<57>Fe Mossbauer Probes" Journal of the Physical Society of Japan. 66(1). 30-33 (1997)
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[Publications] T.Emoto,N.Hosoito,T.Shinjo: "Magnetic Polarization of Conduction Electrons at Au Layers in Fe/Au Multilayers by ^<119>Sn Mossbauer Spectroscopy" Journal of Physical Society of Japan. 66(3)(掲載予定). (1997)
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[Publications] N.Hosoito,T.Emoto,T.Shinjo: "Non-Uniform Magnetization Process of Fe/Au GMR Multilayers Investigated by Polarized Neutron Diffraction" KENS REPORT-XI(KEK Progress Report). (掲載予定). (1997)