1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640456
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉山 清寛 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00187676)
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Keywords | 四重極モーメント / メタ磁性 / 強磁場 / 磁気異方性 / 希土類依存性 / 斜方晶 |
Research Abstract |
LaCu_2を除くRCu_2が示すCeCu_2型の斜方晶のac面内に容易軸がある物質は、斜方晶の結晶場効果によりa軸とc軸がそれぞれ磁化の容易軸と困難軸に分かれている。この結晶構造と磁気異方性を持ったDyCu_2で、強磁場中でメタ磁性を伴った磁化困難軸と容易軸の入れ替わりが起こる。本研究ではまず、単結晶DyCu_2を育成し、強磁場磁化の温度変化の実験を行なったところ、反強磁性転移温度以上ではPrCu_2と同様にメタ磁性を起こす磁場が直線的に上昇し170Kで25Tを示すことを明らかにした。反強磁性状態ではメタ磁性転移磁場は高くなる。この結果、DyCu_2のメタ磁性はPrCu_2と同種のメタ磁性であると考えられるので、PrCu_2と同様に四重極子間の相互作用を入れた解析を行ない、磁場誘起の四重極子の回転でこのメタ磁性が説明できる事を明らかにした。これらの結果を1996年夏、スイスのチューリッヒで行われたの強相関電子系の国際シンポジウムで発表した。また、同じような振る舞いが同様な磁気異方性を持ったRCu_2でも観測されるであろうとの予想をたて、TbCu_2およびCeCu_2の単結晶育成と強磁場磁化測定をおこなった。期待したとおり、磁気異方性の転換をともなった同種のメタ磁性をこれらの物質で初めて発見した。TbCu_2ではDyCu_2同様の磁気相図が得られている。このメタ磁性に必要なエネルギーを磁化のヒステリシスループより求めると、常磁性領域では不思議なことに希土類イオンや温度によらずイオン一個当たりほぼ10Kと同じ値になる。この事は、希土類イオンより結晶構造がこのメタ磁性に大きく寄与している事を強く示唆している。
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