1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640459
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
藤井 博信 広島大学, 総合科学部, 教授 (30034573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浴野 稔一 広島大学, 総合科学部, 助教授 (40185103)
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Keywords | 侵入型化合物 / 磁気異方性 / 永久磁石特性 / Nd_2Fe_<17>N_3 / 窒化物 / キュリー点 / 飽和磁化 / 単結晶 |
Research Abstract |
近年、金属間化合物磁性体の格子間位置に、原子半径の小さな窒素(N)、炭素(C)やボロン(B)など非金属原子を侵入させることによって、優れた機能を持った磁性体を開発する研究が脚光を浴びている。1990年、トリニティー大学のCoeyとSunは2-17希土類鉄化合物Sm_2Fe_<17>の格子間位置に窒素を侵入させることによって、キュリー温度が350Kから750Kに上昇し、飽和磁気モーメントは20%増加、さらに、一軸磁気異方性エネルギーが極めて大きくなることを発見した。現在、Sm_2Fe_<17>N_3の永久磁石化への応用研究と同時に、磁気特性の改善メカニズムの研究が理論、実験の両面から積極的に進められている。しかしながら、侵入型化合物は気相一固相反応を利用して合成するため、ほとんどの場合、微粉末状態の試料を用いる研究を余儀なくされ、磁気モーメントや結晶磁気異方性定数の信頼のおける評価は未だえられていない。 本研究は、侵入型希土類鉄化合物のモデル物質としてNd_2Fe_<17>を取り上げ、その単結晶Nd_2Fe_<17>Z_3 (Z=H, N)を育成し,基礎磁性の面から,窒素侵入のよる磁気特性の改善メカニズムを解明する事を目的とした。現在、Nd_2Fe_<17>Z_3(Z=H, N)単結晶の育成に成功し、4.2Kでの強磁場磁化測定を行っている。その結果、(1)4.2Kにおいて、磁化容易軸はb一軸であり、飽和磁化は水素導入によってほとんど影響されないが、窒素侵入によって14%増大する、(2)4.2KにおけるNd2Fe17の2次の結晶磁気異方性定数は、水素原子の侵入によりわずかに減少するが、窒素の侵入によって、約3倍も強められる事を明らかにした。本研究によって、窒素侵入による磁気特性の改善メカニズムが実験的に初めて明らかにされつつある意義は大きい。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] H. Fujii et al.: "Nitrogenation process in Sm_2Fe_<17> under N_2-gas up to 6MPa" J. Alloys & Compoands. 236. 156-164 (1996)
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[Publications] K. Koyama, H. Fujii: "Magnetocrystalline Anisotropy of the Nd_2Fe_<17> single crystal" Physica B. 226. 363-369 (1996)
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[Publications] K. Koyama, H. Fujii: "Magnetic properties of interstitially modified compouels Sm_3 (Fe, M)_<29> Zx" J. Magn. Magn. Mat.161. 118-126 (1996)
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[Publications] H. Fujii et al.,: "Recent development of bosic magnetism of R_2Fe_<17>N_3" to be published in Physica B. (1997)