1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640463
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
上田 善武 広島大学, 理学部, 助手 (80106799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 英二 広島大学, 放射光科学研究センター, 助教授 (50033907)
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Keywords | バリスティック領域 / 量子干渉効果 / 磁気抵抗 / マグネティック・ブレイクダウン / 高純度金属単結晶 |
Research Abstract |
残留抵抗比(R(300K)/(R4.2K))が10万の超高純度アルミニウム単結晶において,我々の観測した横磁気抵抗振動のステップ状変化の発生機構を明らかにすることを目的として,結晶方位の異なる試料を作製した.磁気抵抗測定用の試料は,放電加工機を用いて整形した.この時,試料の結晶方位は,ゴニオメータを用いて十分な制御を行った.これらの試料について,試料軸方位(電流を流す方向)が[110]および[100]のもので,横磁気抵抗における,マグネティック・ブレイクダウンに起因する量子振動の測定を,温度4.2Kにおいて行った.磁場Bは,超伝導マグネットによって4.0Tまで[001]方向に印可した.磁気抵抗測定には,感度0.5nVの直流電流比較型電位差計および最大感度2pVの超伝導チョッパ増幅装置を使用した.その結果,[110]軸方位の試料では,磁気抵抗の線形増加に重畳した,従来から報告されているような,単調に振幅の増加する振動を観測したのみであるが,他方,[100]軸方位の試料では,振動の谷と山が3周期毎にステップ状に変化する結果を得た.しかし,この3周期の間では,振動の振幅は単調に増加した.さらに,[100]軸方位の試料では,磁気抵抗振動の1/Bに対する周期Δ(1/B)は,2.15×10^<-2>T^<-1>を中心として,6周期毎にその値の急激な変化が観測された.磁気抵抗振動のこれらステップ状の変化は,第3ブリルアン帯中にあるフェルミ面上のβ軌道を経由する電子の,新しい量子干渉効果と推定され,その発生機構解明に向けてのさらなる研究に対して,十分な手がかりを得たものと考えられる.
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