1996 Fiscal Year Annual Research Report
モンテカルロ法による競合する相互作用を持つ層状XY模型の臨界現象に関する研究
Project/Area Number |
08640472
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
堀口 剛 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (30005558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 泰 東北大学, 大学院・情報科学研究科, 助手 (20241531)
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Keywords | 層状磁性体 / XY模型 / KT転移 / カイラリティ転移 / モンテカルロ法 / 有限サイズスケーリング |
Research Abstract |
2層三角格子上のXY模型の臨界現象について研究する為に、予備研究として2層イジング模型の臨界現象の研究を行い,層状スピン系にたいする基礎的な知見を得てPhysica Aに発表した.このことを踏まえて,層状XY模型の臨界現象を研究している.先ず基底状態の相図を得た.上面下面共に強磁性的スピン構造を取る場合,また120°構造を取る場合はパラメーターをそれぞれ負または正に少しずらしても構造は安定である.例えば,J_1を上面の相互作用パラメーター,J_2を下面の相互作用パラメーターとして,120°構造構造はJ_1<0, J_2<0から少しはみ出した領域でも存在することが分かった.この知見を基にして,両面相互作用パラメーターを0.5に選び,J_1=-1を決め,J_2を-1.5から1.5まで変化させて,内部エネルギー,比熱,カイラリティをモンテカルロ数値実験で計算し,得られたデータを有限サイズスケーリング法で解析した.J_2<0.2では,比熱にT_cで1つのピークが存在し,有限サイズスケーリング法で解析した結果,比熱はT_cで対数発散し,カイラリティがT_cで秩序化することが判明した.0.3<J_2では,比熱の2つのピークを持ち,高温側のピークはコスタリッツ・サウレス転移のために生じ,低温側のピークは対数発散し,それはカイラリティ転移のためであることが判明した.特に0.2<J_2<0.3では,比熱に2つの対数発散するピークが存在し,低温側のピークは下面のカイラリティの特異な振る舞いに依る新しい相転移であることを解明した.これらの結果は,平成9年春の物理学会で詳細を発表する予定である.またこれらの結果の学会誌への発表のための準備している.現在,他のパラメーター領域についても,更なるモンテカルロ数値実験を行っており,本研究で発見した,新しい相転移の解明を含めて,本体系の臨界現象の解明を行っている.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 本田泰・堀口剛: "Critical phase of magnetic hard hexagon model on a triangular lattice" Phys.Rev.E. 55・1. 194-198 (1997)
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[Publications] 堀口剛・津嶋紀宏: "shift exponent and breakdown of universality for the two-layer Ising model・・・" physica A. (掲載決定 印刷中). (1977)