1996 Fiscal Year Annual Research Report
低次元量子反強磁性系の磁気的低エネルギー励起とその光学的性質に関する理論計算
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08640476
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
夏目 雄平 千葉大学, 理学部, 教授 (80114312)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
太田 幸則 千葉大学, 理学部, 助教授 (70168954)
中山 隆史 千葉大学, 理学部, 助教授 (70189075)
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Keywords | スピン系 / 低次元系 / 反強磁性体 / ラマン散乱 / 三角格子 / マグノン / 量子効果 / 磁気異方性 |
Research Abstract |
磁気励起による光学的性質の研究は実験面・理論面の両面において、反強磁性スピン系の本質を理解する上で、極めて重要な知見を与えてきた。本研究では特に強い量子効率を持つ低次元系を対象として、磁気的な低エネルギー励起をスピン波描像で表現し、その光学的性質を理論計算によって調べた。着目した系は、相互作用の競合によってスピン配行が、従来よく知られているような反平行にならず、多副格子構造をなす場合(Non-collinear構造)である。このような系では磁気異方性の効果が量子効果と深く関係しているので、それを精密に取り込んで調べた。また、このような系における磁場中での磁気的低エネルギー励起についても弱磁場から磁化の飽和する強磁場までを統一的に調べた。以下具体的に示す。 □1.多副格子反強磁性体における光散乱の理論を、結晶の対称性との関連を明らかにしつつ、Holstein-Primakoff変換に基づいたスピン波表現に基づいて理論的に検討して整理した。 □2.マグノン分散を求め、交換散乱メカニズムに基づいてラマン散乱スペクトルをNon-collinear系の特異性という観点から検討し、具体的に光学スペクトルを再構成する方法を整理し、実行した。 □3.さらに、強磁場中の場合は以上のマグノン励起の描像がどのように変わるかという問題にさかのぼって、実験的研究との比較を行いつつ調べた。ここまでの結果は文献1(Y.Watabe他)に公表した。さらにいくつかの論文を投稿中及び準備中である。 □4.また、ここで述べた低次元量子スピン系は銅酸化物超伝導における電子状態と密接な関係にあるが、2次元スピン系の自由度にを反映した相互作用による強結合超伝導現像についても具体的な計算で調べ、文献2(N.Sue他)で公表した。 □5.さらに強磁場中での2次元強結合超伝導についても具体的に調べ、文献3(H.Goto他)に公表した。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Y.Watabe,Y.Natsume: "Calculation of Spin reduction for magnons in hexagonal compounds in magnetic feild by the numerical construction of Bogoliubov transformation" Physica B Condensed Matter. 216. 338-340 (1996)
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[Publications] N.Sue,Y.Natsume: "Self-consisted calculations of Eliashberg equation for strong coupling superconductivity with anisotropic gap under the modulation of two kinds of nodal wavevectros to 2-dimensional electronic bands" Journal of Physical Society of Japan. 65. 1166-1169 (1996)
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[Publications] H.Goto,Y.Natsume: "A theoretical approach to strong-coupling superconductivity in ultra-high fields in consideration of vertex corrections to Eliashberg-Migdal equation" Physica B Condensed Matter. 216. 281-284 (1996)