1996 Fiscal Year Annual Research Report
空間構造のため強い量子揺動をもつ系のスピン秩序機構の量子モンテカルロ法による研究
Project/Area Number |
08640485
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮下 精二 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10143372)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多々良 源 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10271529)
|
Keywords | シングレットペア / 量子効果 / 古典・量子相転移 |
Research Abstract |
スピンの動的性質を直接シミュレーションする方法を指数積分解の方法を用いて開発し、一軸異方性をもつ磁性体の磁場逆転に伴う運動の解析を行ない、そこで起こる非断熱遷移の確率をランダウ・ジーナーの機構で解析することで、2つの安定な状態間のトンネル効果によるエネルギーギャップの大きさを評価する方法を提案した。さらにその方法で量子的ヒステリシス現象における階段的振舞いの磁場変化の速度依存性を明らかにし、巨大分子で発見されている現象の起源を明らかにするとともに、その現象の普遍性を明らかにした。 また、準安定状態からの緩和における熱浴の効果を縮約された密度行列の時間発展方程式を用いて調べ、実験でしばしば得られているような緩和時間の低温での逓減現象をシミュレートすることに成功し、量子系での温度と運動の関係について考察した。 また、熱浴との結合が弱い量子系ではエネルギー保存のため、不安定な核も単調に成長することが出来ず、非自明な振動をすることを明らかにしそれがいわゆるトンネルギャップと混同しやすいことを指摘し、上述の有限速度磁場変化によるギャップ測定のチェックが必要であることを提案した。また、同様な方法でスピン三量体での縮退基底状態における外磁場の時間的変化の伝搬の様子の直接観察を行ない、基底一重項で隔てられたスピン間の運動の特徴を明らかにした。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] M.Yamanaka,M.Oshikawa & S.Miyashita: "Hidden Order and Dimerization Transition in S=2 Chain" J.Phys.Soc.Jpn.65・6. 1562-1565 (1996)
-
[Publications] M.Roji & S.Miyashita: "On the Extrapolation of the Trotter Number in the Quantum Monte Carlo Simulation of the Magnetization Process" J.Phys.Soc.Jpn.65・7. 1994-1999 (1996)
-
[Publications] S.Miyashita: "Observation of the Energy Gap due to the Quantum Tunneling Making Use of the Landau-Zener Mechanism" J.Phys.Soc.Jpn. 65・8. 2734-2735 (1996)
-
[Publications] K.Saito,S.Takesue & S.Miyashita: "Thermal conduction in a quantum system" Phys.Rev.E54・3. 2404-2408 (1996)
-
[Publications] S.Miyasita and T.Nakamura: "Monte Carlo Studies on Frustrated Quantum Spin Systems by a New Approach to the Negative sign problem" Int.J.Mod Phys.C7・3. 425-431 (1996)
-
[Publications] S.Takagi & G.Tatara: "Macroscopic quantum coherence of chirality of a domain wall in ferromagnets" Phys.Rev.B54・14. 9920-9922 (1996)