1996 Fiscal Year Annual Research Report
発達した乱流における秩序構造の動力学-巨視的秩序形成と内部構造の役割
Project/Area Number |
08640505
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤 定義 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10217458)
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Keywords | 乱流 / 熱対流 / 巨視的秩序 / カスケード / ウェーブレット / エントロピー / 壁乱流 / 秩序構造 |
Research Abstract |
発達した乱流中の構造及びその動力学に関し以下の3つの成果を得た。 1.3次元一様熱対流乱流では、エントロピーカスケード過程は巨視的秩序に伴う剛体回転により、速度場が2次元化することでのみ実現出来ることを明らかにした。更に、浮力は各スケールでのポテンシャルエネルギー(PE)と運動エネルギー(KE)の変換を司るが、この変換の向き(PE⇔KE)と平均温度勾配の関連を明らかにした。不安定及び中立成層の場合はPEからKEに変換され、不安定成層の場合は大きいスケールでKEからPEに、成層が無視できる小さいスケールでは中立成層に準じる。また、エントロピーカスケードが実現されるためには、エネルギーのスケール間輸送の向きの関係が必要で、安定成層の場合にのみ部分的に条件が満たされる。従って、巨視的秩序形成とエネルギー逆輸送は密接な関連をもち相補的な役割を果たすことが理解された。 2.熱対流乱流における巨視的秩序形成の1機構である、エントロピーカスケードとそれに伴うエネルギーの逆輸送過程を2次元一様熱対流乱流で調べた。ウェーブレットを用いた解析により、温度場と速度場(ストレイン場)が各スケール間で相似的に相互作用をし、空間分布における自己相似的振舞を生み出していることを明かにした。 3.境界層乱流において、様々な秩序構造のうちストリークを壁付近から外層まで一意的に定義する手法と可視化法を提案し、乱流統計へのストリークの寄与を明らかにした。特に、これまであまり注目されていなかった粘性底層での秩序構造の役割の重要性を示唆し、ダイナミックスをストリークの振舞によってその発展プロセスのステージに分類することが出来ることを明らかにした。
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