1996 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ金属原子-ヘリウム分子とクラスターの生成とレーザー分光
Project/Area Number |
08640506
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石川 潔 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00212837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芦田 昌明 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60240818)
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Keywords | アルカリ金属 / ヘリウム / クラスター / レーザー分光 |
Research Abstract |
アルカリ金属原子とヘリウム原子からなるクラスターの構造・緩和機構について、超流動ヘリウム中の原子の分光実験によってデータが蓄積されてきた。アルカリ金属原子と比較するため、希土類元素であるツリウム原子を超流動あるいは固体ヘリウム中に注入して分光実験を行なった。ツリウム原子は外殻電子の遷移や外殻電子によって外部からの摂動が遮蔽された内殻電子の遷移など様々な種類の遷移が存在し、原子間の相互作用を研究するのに適した原子である。実験では、外殻電子遷移や内殻電子遷移などの種類によって様々な幅をもつスペクトル線が観測された。また励起状態の100nsから100msの6桁にわたる異なる寿命・緩和時間をデジタル遅延パルス発生器を購入して測定することができた。 超流動ヘリウム中の原子の励起状態は、その電子波動関数の形状によって周りのヘリウム原子の配置を変える。つまり励起状態が変わればヘリウム原子の位置が変わるだけでなく、ヘリウム原子の数まで変わる。発光スペクトル線のエネルギーと電子状態エネルギーの半定量的計算結果とを比較し、原子の周りのヘリウム原子の位置・数の異なる、いわば異なるクラスターの発光に関する実験が報告されている。しかし、周りのヘリウム原子配置を直接に光学的手法によって観測することは難しい。現在、その予備的実験として、室温セルにアルカリ金属とヘリウムを入れて磁気共鳴信号を観測している。アルカリ金属原子の電子軌道とヘリウム原子核の重なりは非常に小さいが、核スピンのゼロでないヘリウム3にすれば、アルカリ金属原子とヘリウム原子との相対位置による共鳴周波数の変移を観測することができると期待している。
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Research Products
(1 results)