1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640514
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
江馬 一弘 上智大学, 理工学部, 助教授 (40194021)
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Keywords | 光ソリトン / 励起子 / 励起子分子 / 半導体 / ポラリトン |
Research Abstract |
本研究の目的を達成させるために,以下の項目について研究を行った. (1)試料としてCuClを用いて様々な条件でソリトン伝搬を観測 半値幅200fsのパルスを用いて,励起子共鳴領域のパルス伝搬特性を測定した.試料としては,曖昧さをなくすため,最も物質パラメータの知られたCuClのバルク結晶を用いて実験した.波形の測定には,BBO結晶を用いた差周波数測定法を利用した.励起子分子2光子共鳴近傍で入射パルスの波長を変化させて,透過波形を測定したところ,2光子共鳴から少しでもずらすとソリトン的伝搬が崩れることがわかった.この事実より,我々の観測しているソリトンが励起子分子の寄与によるものであることが確認された.また,結晶の厚さを変えて測定したところ,ソリトン伝搬可能な伝搬距離は約10um程度であることがわかった. (2)ポラリトンソリトンとしてソリトン伝搬を解析する 本研究では励起子共鳴に完全に共鳴させずに(励起子のLTギャップを覆わずに),少し共鳴よりエネルギーの低い領域でのポラリトン伝搬を問題にした.この領域が非線形デバイスを考える上で最も重要であり,かつ非線形シュレディンガー方程式との対比が付けやすく物理的なメカニズムが明確になるからである.本研究では非線形シュレディンガー方程式をフーリエ変換して,フーリエ成分の伝搬方程式を基礎にして周波数領域で伝搬を考えた.ポラリトン分散を線形分散として与え,励起子共鳴および励起子分子2光子共鳴による非線形感受率を考慮して,(1)で得られた実験データを解析し,励起子の緩和や空間分散がソリトン形成にどのように影響するかを明らかにした.
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Research Products
(1 results)