1996 Fiscal Year Annual Research Report
蓄積リングにおける極短電子ビームバンチの自由電子レーザーに及ぼす効果の研究
Project/Area Number |
08640518
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
浜 広幸 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (70198795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高野 史郎 理化学研究所, 大型放射光施設, 研究員 (70212008)
保坂 将人 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (60290897)
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Keywords | 電子蓄積リング / 自由電子レーザー / シンクロトロン振動 / 螺旋磁場アンジュレータ / 円偏光 / 非線形ビーム運動力学 |
Research Abstract |
電子蓄積リングにおける自由電子レーザーの運動力学では、電子ビームの性質、特に進行方向における電子の分布と、シンクロトロン振動という位相空間での電子の振る舞いがレーザー発振の時間構造や強度に強く影響することが実験的に示されてきた。本研究においては分子科学研究所UVSOR電子蓄積リングに、より大きな自由電子レーザーの増幅率を得るために螺旋磁場を用いた光クラストロン型のアンジュレータを導入して円偏光レーザーを取り出すことに成功した。最終的には世界で最も波長の短い紫外線領域のレーザー発振(波長239nm)を得た。螺旋磁場下での円偏光自由電子レーザー光と電子の相互作用は最も単純な基礎過程の式で表現できるため、理論的な考察において曖昧さが少ないという利点がある。実験で測定された増幅率は理論計算と良く合うことが分かった。また電子ビームの密度分布を高調波高周波空洞によって変化させ、密度に概ね比例した増幅率が得られることを実験的に確認することができた。 興味深い問題として、電子ビームがレーザー光との相互作用によって撹乱される現象がシンクロトロン振動とどのように関わるのか、ということがある。振動が非常にゆっくりとした場合撹乱が抑制されその結果電子ビームの光増幅に対する能力の低下があまり起こらず大きいレーザー強度が得られると予想される。電子蓄積リングの収束系磁石強度を変えてシンクロトロン振動の速さを変化させる実験を行ない、通常にくらべ約1/15にまで振動数を下げることに成功した。しかしながらこの時電子ビームに強い非線形な振る舞いが現われ、自由電子レーザーの発振実験に適用できるまでの安定性や電子密度が得られていない。ゆっくりとしたシンクロトロン振動における電子ビームの非線形性の補正などビーム運動力学に関する研究が最重要課題として今後に残される。
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Research Products
(1 results)