1996 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込み帯の不均質構造を考慮した精密地震解析環境の構築と応用
Project/Area Number |
08640527
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
岡元 太郎 東京工業大学, 理学部, 助手 (40270920)
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Keywords | 地震波理論 / 沈み込み帯 / 差分法 |
Research Abstract |
今年度の主なテーマは、地震波波形計算プログラムの開発・地震波解析プログラムの開発であった。 ・遠地実体波理論波形計算プログラムの開発 本年度は、大きな前進を見ることができた。Takenaka & Kennet(1996)によって、2次元媒質に3次元的な平面波が入射する問題を波数積分を用いずに時間・空間領域で計算する定式化が提唱され、本年度は彼らと共同で遠地実体波波形を計算する新たな実際のプログラムの開発に着手し、ほぼ完成させることができた。これは、波数積分を必要としないために従来の数十分の一の計算量で遠地実体波波形を計算することができる画期的なプログラムであると言える。 ・近地地震波形計算プログラムの開発 この問題では点震源を扱うため2.5次元の問題であっても波動場が単一の平面波だけでは表現できない。そのため波数積分が必要となる。本研究では、代表者が開発した反射・透過行列法による波形計算の結果と、差分法による結果とを比較することにより、差分法における境界条件(流体・弾性体境界)を満足する格子点配置やその精度に関する問題を解決できた。そして、2.5次元の地震波伝播を数値計算する差分法プログラムをほぼ完成できた。このプログラムを用いたシミュレーションによって、日本海溝で発生した実際の浅い地震による観測地震波形(周期10秒-200秒、震央距離約200km)を非常によく再現することができ、本研究で開発したプログラムの実用性を実証することができた。 ・地震波解析プログラムの開発 新たに開発した遠地実体波波形計算プログラムに合わせて、解析プログラムの変更作業にも着手した。遠地実体波波形による発振機構・震源位置解析プログラムは基本的な変更をほぼ終えたが、震源関数の表現方法などにまだ拡張を必要とする点が残っており、その他のプログラムと共に引続き開発を続ける。 ・計算機環境の構築 今年度は、既存の計算機を、部品の更新によって512MBytesという大容量の記憶領域を持つマルチプロセッサ計算機にアップグレードし、マルチプロセッサ用OSの導入作業やプログラム開発環境の構築、性能評価等を行なった。 また、もう一つのテーマであった構造データの設定までには至らず、継続して研究を行なう予定である。
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