1997 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込み帯の不均質構造を考慮した精密地震解析環境の構築と応用
Project/Area Number |
08640527
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
岡元 太郎 東京工業大学, 理学部, 助手 (40270920)
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Keywords | 沈み込み帯 / 震源過程 / 差分法 |
Research Abstract |
今年度は、地震解析用プログラムとして、(1)近地地震波計算・モーメントテンソルインバージョンプログラム、(2)遠地実体波計算・断層運動解析プログラムの作成と実際のデータによる解析を試みた。(1)については、前年度に作成した近地地震波計算プログラムを更に発展させ、相反定理に基づく波形計算方法を導入した。この方法では、観測点に実体力を与え、震源での歪み場を計算し、この歪み場を相反関係によって観測点での変位波形に変換する。この定式化では、多数の震源に対する応答を一度に計算できる。また、震源の発震機構も任意に与えることができる。震源に等価な力を与えて計算する順計算ではただ1つの震源に対する応答しか計算できない。通常、地震は様々な場所で発生し発震機構も一定ではないので、この方法は地震解析の上で有用である。本研究では、海水層などの沈み込み帯の不均質構造があっても安定かつ良い精度で相反定理にもとづく波形計算が可能であることを示し、日本海溝で発生した浅い地震のモーメントテンソルインバージョンを行なってほぼ妥当な解が得られることを見出した。これらは沈み込み帯の地震の解析や即時発震機構決定などに役立つと期待される。(2)では、前年度に作成した新しい効率的な計算方法に基づいて断層運動(地震モーメント解放量分布)推定をするプログラムなどを作成した。応用例として1992年ニカラグア津波地震の解析を行った。津波波形からは非常に浅い場所に断層運動が集中していたことが推定されているが、本方法では深い場所にもかなりの断層運動があったことが示唆された。しかし、まだ検討すべき点が残されており、余震分布の再決定などの方法を試みて解析を継続する予定である。なお、これらの結果は国際会議(American Geophysical Union)や国内の学会などで発表した。
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