1997 Fiscal Year Annual Research Report
閉鎖性汽水湖における死水の形成・振動・流動の機構に関する比較研究
Project/Area Number |
08640537
|
Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
知北 和久 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70142685)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橘 治国 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90002021)
|
Keywords | 海跡湖 / 無酸素塩水層 / 潮汐 / 底層密度流 / 塩分躍層 / 内部静振 |
Research Abstract |
平成9年度の本研究の目的は、北海道の代表的な閉鎖性汽水湖である網走湖を対象として、湖の下層にみられる無酸素塩水層(死水層)の形成・振動・流動の機構を野外観測に基づくデータ解析から明らかにすることである。死水層の振動・流動に関する観測期間は平成9年6月〜10月で、最深点の無酸素層中央に自記式電磁流速計、最深点を含む湖長軸上3点の塩分躍層に自記式電導度・水温計、同3点の淡水層中央と塩水層中央に自記式水温計をそれぞれ配置し,流速・電導度・水温の連続測定を行った。また、網走開発建設部より風・湖水位や海水遡上する下流網走川の塩分・水温と上流網走川流量及び網走港潮位について時系列データを入手し、これを含めた総合的なデータ解析を行った。他方、随時現場での試水収集と湖底泥の採取を行った。結果として、次のことが明らかとなった。 1)海水の進入条件と無酸素層の形成:網走湖における海水進入は、海水塩分(〜33%)が湖の底層塩分(〜20%)の1.7倍であり、このため密度が常に高い海水は湖に底層密度流として進入する。この海水進入は、網走湖では毎日の日周潮の高位時に認められる。但し、網走湖の下層には常に無酸素層が存在し、塩淡境界の深度も大きく変化しないことから、その進入量は湖盆容積に比べ大きくないことがわかる。海水進入量の定量的評価は現在検討中である。 2)死水層の振動・流動特性:網走湖周辺では夏期の晴天時は海陸風循環が卓越し、相対的に海風(北風)の連吹時間が長い。それ以外では、弱い南風かまたは強い北〜北東風が一日以上の連吹時間で卓越する。この風系に対応して、流速計でとらえた死水の挙動は、上記の強い北風時には西北西〜北西方向で〜5cm/sの流速をもち、海陸風循環時には西〜北西方向で〜7cm/sで日変動した。より短周期には網走湖の固有振動(内部静振)が認められ、これは塩分躍層での塩分の変動にも現れた。
|
Research Products
(1 results)