1996 Fiscal Year Annual Research Report
水温躍層および湖底における懸濁物質の挙動と相互関係
Project/Area Number |
08640546
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
遠藤 修一 滋賀大学, 教育学部, 教授 (30111884)
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Keywords | 湖沼 / 懸濁物質 / ネフェロイド層 / 水温躍層 / 琵琶湖 / 湖底高濁度層 |
Research Abstract |
最近,多くの湖沼でその存在が確認されている「湖底高濁度層」の実態と形成機構を解明し,また水温躍層付近の濁りとの関連性について考察するため,以下のような調査を実施した。 1.定期観測:TCTプロファイラとクロロフィルa測定器を用いて,琵琶湖北湖の南部水域において毎月1回の水温・電導度・濁度・クロロフィルaなどの測定を行った。 2.連続観測:自記流向流速水質計を北湖南部の数点と野洲川河口に係留し,流速,水温,濁度の連続観測を実施した。 3.集中観測:6月と9月の降水後に,野洲川河口から北湖南部水域にかけて,総合的な観測を3日間連続して行った。また各層の採水を行い,蛍光X線による懸濁物の化学組成分析を行った。 4.水中ロボットによる観測:夏季に調査艇を錨置し,水中ロボットを用いて湖水中の懸濁物質の挙動や湖底付近での濁りの変化を観測した。 以上の観測によって得られたデータから,この水域においては野洲川や日野川などの琵琶湖東岸に注ぐ河川水がもたらす土壌起源粒子による濁りが支配的であることがわかった。河川水の流入様式は季節によって変化し,特に夏季には水温躍層に貫入した後,ゆっくりと沈降し,湖底高濁度層を強化することが明らかになった。また5月〜6月には植物プランクトンの大量発生が見られ,これらが分解しながら沈降することによって,湖底高濁度層を形成することも明らかとなった。
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