1996 Fiscal Year Annual Research Report
有機塩素系溶剤による地質環境汚染とその対策について-福島県を中心にして-
Project/Area Number |
08640566
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
中馬 教允 福島大学, 行政社会学部, 教授 (30143126)
|
Keywords | 有機塩素系溶剤 / トリクロロエチレン / テトラクロロエチレン / 1,1,1-トリクロロエタン / 水文地質構造 / 地質環境汚染 |
Research Abstract |
1年目に当たる1996年度は,福島県会津若松市及び原町市を中心に現地調査及び室内分析を実施し,有機塩素系溶剤による地下水汚染の実態把握に努めた。ECD付きガスクロマトグラフを用いた分析は,会津若松市で85点,原町市で83点に及んだ。この他,喜多方市・西会津町及び田島町において検知管分析等を多数実施したが,田島町において1,1,1-トリクロロエタンによる汚染を1地区確認できたにすぎなかった。 会津若松市では,西若松駅東口・大町・七日町・山見町・新横町において,主にテトラクロロエチレン(PCE)による汚染を確認できた。汚染源を特定できたとは必ずしも言い難いが,いずれの地区にもクリーニング工場が存在する。中でも,西若松駅東口周辺では,Fクリーニング工場の下流一帯が広く汚染され,ここの排水路からは高濃度のPCEが検出された。1995年には1リットル当たり0.625mg(排水基準値の6.25倍,飲料水の水質基準値の62.5倍)が検出されたところである。PCEは湯川の扇状地堆積物の浅所を,現流路方向へ流動している。 原町市では,大町・橋本町・錦町などの広大な面積を占めて,PCEによる汚染を確認できた。汚染源はかつてあった製紙工場もしくはそのすぐ上流に位置するクリーニング工場である可能性が高い。原町市の市街地一帯は厚さ10m未満の河岸段丘構成層が,鮮新世の砂岩・泥岩層の上に不整合に重なり,段丘礫層には不圧地下水が,鮮新世の地層には被圧地下水が含まれる。PCEによる汚染はこれら上下の地層に及んでいる。 1997年度は,分析を追加するとともに,これまでに得た資料を含めて,福島県の有機塩素系溶剤による汚染実態をまとめ,その対策のありようを考察する予定である。
|