火道と溶岩ドームの地質学・岩石学

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08640569
• Research Institution: Shimane University
• Principal Investigator: 澤田 順弘 島根大学, 総合理工学部, 教授 (80196328)
• Keywords: 火道 / 溶岩ドーム / 火砕流 / 珪長質マグマ / デイサイト / 部分融解 / マグマ混合 / 西南日本

Research Abstract

平成9年度は次の研究を行った。1)隠岐島後において最も活動的な末期中新世の隠岐アルカリ火山岩について、地質学的、記載岩石学的、地球化学的研究を行い、ショショナイト、粗面岩、流紋岩の成因、特に地殻物質の部分融解の程度の違いが流紋岩マグマの化学的性質に如何に反映するのかを明らかにし、その成果は現在、学会誌に投稿中である。同時に流紋岩にみられるドーム状溶岩の粘性とマグマ混合との関連について考察した。2)隠岐島後の葛尾石英流紋岩類の火道に関する成果は平成9年3月の火山学会にて発表し、現在投稿中である。3)隠岐島前の末期中新世の火山岩類と火道溶結凝灰岩の地質学的、記載岩石学的、岩石化学的研究により、火山活動史を解明、特に粗面玄武岩、粗面安山岩、粗面岩が同時期に活動している点、粗面岩溶岩ドームの形態、粗面岩の火道の実態、岩石成因論を検討した。4)地殻下部由来の捕獲岩を用いた部分融解現象、超苦鉄質岩捕獲岩における元素の移動の研究。5)火砕流堆積物にしばしば含まれる炭化木片を用いた温度の見積り。実験的な炭化木片作成条件として150、250、350℃を追加。400℃以下ではH/C-C/全CHNSについては温度と時間の依存性が明瞭であることがわかり、天然試料に適用が可能である。赤外線吸収スペクトルについて吸収ピークの吸収度の比の温度と時間依存性について検討した。6)三瓶山のデイサイト溶岩と火砕本質物中の鉱物とガラスの組成、特にS、Cl,F等揮発性物質量と発泡現象について研究を進めている。

Research Products

• [Publications] 沢田順弘ほか: "島根県大田市の堀削コアから発見された欝陸島の完新世初期火山活動由来の漂着軽石" 第四紀研究. 36. 1-16 (1997)
• [Publications] 古山勝彦ほか: "近畿北部、中新世北但層群八鹿累層火山岩のK-Ar年代" 地球科学. 51. 452-457 (1997)
• [Publications] 古山勝彦ほか: "近畿北部、鮮新世昭来層群寺田火山岩層のK-Ar年代" 地球科学. 52. 38-43 (1998)
• [Publications] 鹿野和彦ほか: "石貝大田及び大浦地域の地質" 地域地質研究報告(日本地質調査所). 岡山(12)No.26(印刷中). (1998)