1997 Fiscal Year Annual Research Report
断層粘土を利用した断層年代測定法及び活動性評価法の研究・開発
Project/Area Number |
08640574
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Research Institution | Yamaguchi Univeristy |
Principal Investigator |
福地 龍郎 山口大学, 理学部, 講師 (90212183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 登 通産省工業技術院地質調査所, 地殻化学部地球化学課, 課長
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Keywords | 断層粘土 / 活断層 / 電子スピン共鳴 / ICP質量分析 / ルミネッセンス / ラドン異常 / 地震予知 / 野島断層解剖計画 |
Research Abstract |
本研究では,断層活動性評価の目的で行われる断層粘土のESR年代測定法の信頼性を向上させるために,断層粘土を構成する粘土鉱物固有のESR信号を使用したESRアイソクロン法を考案した.本方法は,粘土鉱物粒子に吸着している^<238>U及び^<232>Th濃度が粒度によって変化することを利用するもので,生成時期が同じで粒度の異なる複数の粘土鉱物粒子を同時に用いることにより断層粘土のアイソクロン年代が得られる.本方法で問題となるのが断層破砕帯の放射平衡状態であるが,ICP-MSを利用して^<238>Uと^<232>Thの同位体比を調べることにより,放射性元素の閉鎖状態の判定が可能となった. 次に,断層破砕帯の放射平衡問題とも直接関連する地震発生前後のラドン異常現象に取り組んだ.^<214>Biのγ線強度異常が観測された野島平林断層露頭において採取した断層粘土の原子吸光及びICP分析を行い、^<238>U,^<232>Th,^<208>Pb各濃度及び同位体比からラドン異常の原因が断層粘土化に伴う放射性元素の濃集とラドンの解放にあることが明らかになった.また野島断層500m掘削コア試料のICP分析の結果,断層面近傍の断層粘土から^<208>Pb濃度異常が検出され,地下で大量の^<220>Rnガスが発生・上昇した痕跡を促えることができた.さらにESR解析の結果,最近活動した断層面直上の断層粘土(幅0-3mm)が加熱作用を受けていることが判明し,Fe_2O_3やAl_2O_3濃度の他,^<133>Csや^<138>Ba濃度など,一部の元素に極端な増加及び減少が見られることから,地震発生時に特定元素を含んだ高温流体が地殻深部から吹き上げてきた可能性が示された.1997年6月25日に発生した山口県北部の地震では,震源断層沿いのリニアメントにおいて,^<214>Biの高γ線強度が観測された.以上の結果は,ラドン異常が地下の断層粘土化と密接に関係していることを示唆している.
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Fukuchi,T.: "Quartet ESR signals detected from natural clay minerals and their applicability to radiation dosimetry and dating" Japanese Journal of Applied Physics. 35. 1977-1982 (1996)
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[Publications] Fukuchi,T.: "Diret ESR dating of fault gouge using clay minerals and the assessment of fault activity" Engineering Geology. 43. 201-211 (1996)
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[Publications] Fukuchi,T.: "A mechanism of the formation of E' and peroxy centers in natural deformed quartz" Applied Radiation and Isotopes. 47. 1509-1521 (1996)
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[Publications] 福地龍郎・今井 登: "野島断層断層粘土の変質鉱物分析とESR年代測定の意義" 京大防災研究所共同利用研究成果報告書『断層解剖計画シンポジウム』. 135-137 (1997)
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[Publications] 山口大学・野島断層解剖計画グループ(文責): "野島断層500mコア試料から検出される高温流体移動及びラドン異常現象の痕跡" 地震予知連絡会会報. 59. 492-496 (1998)
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[Publications] 福地龍郎・今井 登: "野島断層ボーリングコアサンプルのICP質量分析とESR年代測定" 月刊地球. 号外21(印刷中). (1998)
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[Publications] Fukuchi,T.and Imai,N.: "Resetting experiment of E'centres by natural faulting-The case of the Nojima Earthquake Fault in Japan" Quaternary Geochronology. (in press). (1998)
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[Publications] Fukuchi,T.and Imai,N.: "ESR isochron dating of the Nojima Fault Gouge,southwest Japan,using ICP-MS ; an approach to fluid flow events in the fault zone" Journal of the Geological Society of London. (in press). (1998)