1997 Fiscal Year Annual Research Report
海底ピストン・コアサンプルの鉱物,地球化学的研究による古環境の復元
Project/Area Number |
08640581
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
青木 三郎 東洋大学, 文学部, 教授 (50112917)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神山 宣彦 労働省産業医学総合研究所, 部長 (80133643)
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Keywords | マジェラン舟状海盆 / ピストン・コアサンプル / 古環境 / 微細鉱物 / 自生鉱物 / 他生鉱物 |
Research Abstract |
中央太平洋海盆北部に位置するMagellan Troughには5,000-6,000の深海底に、遠洋性粘土、ゼオライト質粘土、さらには珪質粘土が分布している。石灰質粘土は、炭酸カルシューム補償深度を超えるため、その分布は限定される。その多様な遠洋深海堆積物が分布している研究海域から採取された12本のコアサンプルを本研究に使用した。研究の目的は、上述の遠洋性堆積物を構成している主要な微細鉱物の鉱物・化学的研究により、本研究海域及び周辺陸域の、新生代における環境変動の歴史を考察しようとするものである。 この目的のために、12本のコアサンプルから年代が判明している代表的な層準サンプル270個を分取し、すべてのサンプルについてXRD分析と、さらに選択したサンプルについては、粘土鉱物の化学分析と形態学的研究をATEMで行った。平成8年度の報告では、12本のコアサンプルは、鉱物組成によって2つのグループに分類されることすなわち、第一のグループはコア全体にスメクタイトとクリノプチロライトの海底自生鉱物が卓越するタイプ、第二のタイプは、スメクタイトは下部の古い年代で卓越するものの、ゼオライトは含まないか、有っても少く、また上部の若い年代へ、陸起源のクロライト、イライト、カオリナイトの砕屑性鉱物が卓越するグループである。これらの成果と本年度の研究(主にATEM分析による粘土鉱物の化学組成と形態学的研究)によって得られた成果は、スメクタイトのポリタイプから、スメクタイトの成因と起源は、一様ではないこと、つまり海底自生のみならず、他生(陸起源)を示すタイプの存在が判明したこと、また形態的特徴からも、それらのことを暗示するような結果が得られた。クロライトの化学組成と形態的特徴では、それらが海底のみならず陸上にも広く分布するタイプであることつまり陸起源の砕屑性であることを示した。主なる成果は前年度に報告したとうりである。
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