1996 Fiscal Year Annual Research Report
浮遊性有孔虫化石群集による鮮新世以降の北西太平洋表層水古環境
Project/Area Number |
08640594
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
徐 学東 熊本大学, 理学部, 助手 (70274686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾田 太良 熊本大学, 理学部, 教授 (60108454)
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Keywords | 浮遊性有孔虫化石群集 / 酸素・炭素安定同位体比 / AMS 14C放射年代 |
Research Abstract |
本研究は北西太平洋から採取された3本の海底コア(DSDP292,DSDP445,DSDP310)を主な対象とする.本年度では,黒潮の源流域に位置するBenham Riseから採取された海底試料(コアDSDP292)及び黒潮の北限に位置するHess Riseから採取された海底試料(コアDSDP310)について研究を行った.海底試料を処理した上で,予察的に浮遊性有孔虫の群集解析を行った.現生の親潮特徴種,混合水域特徴種,黒潮特徴種,中央水塊特徴種に基づいて,各時代における表層水の特性(水塊構造)を求めた.現在,各種の産出頻度に基づいてトランスファー・ファンクション計算を行い,表層水古水温を算出している段階である.浮遊性有孔虫殻の酸素・炭素同位体比測定は熊本大学平成8年度に購入した同位体比質量分析装置を利用するとした.機械の入荷,調整に時間がかかるため,現段階ではまだ測定可能な状態になっていないが,同位体測定技術について,他大学を見習いながら検討した.更に,コアにおける浮遊性有孔虫化石各種の産出状況などから同位体比測定に適した種について検討を行った.本研究の一部として,日本近海後期第四紀における黒潮流路の変化を把握するため,東シナ海,北西太平洋から採取された5万年以降のピストン・コアKH82-4-14,RN80-PC3などを対象にし,浮遊性有孔虫殻のAMS 14C放射年代を測定した.これらの測定値は黒潮を中心とする海洋古環境変遷の復元に確かな年代を与えた.
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