Research Abstract |
愛知県知多半島に分布する常滑層群豊丘累層および河和累層について,地質調査および植物化石の採集,同定を行った.その結果,豊丘累層よりFagus stuxbergii,Glyptostrobus sp.,Quercus sp.,Acer sp.,Zelkova sp.,Celtis sp.,Salix spp.,河和累層よりLiquidambar sp.,Alnus sp.,Glyptostrobus sp.,Lauraceae gen.et sp.indet.等を採集,同定できた.これらは,すべて新産地からの産出である.同定中の標本も多数あり,今後,同定を進める必要がある. これらのうち,Glyptostrobus sp.,Liquidambar sp.は外地生種であり,化石種または現生種のどちらなのかを検討する必要がある.Fagus stuxbergiiは化石種であり,中新世後期のPinus trifolia floraから産出し,常滑層群上部の布土累層においてFagus microcarpaに種が置き換わることが予想される.これらの2種の類縁関係,さらに現生のFagus crenataとの類縁関係を研究する必要がある.Pinus trifolia floraを特徴づけるPinus frifolia,Hemitrapa,Distylopsis,Eoeuryaleは確認できていない. また,採集できた標本のうち,炭化黒色化した葉化石を落射蛍光顕微鏡を用いて観察したところ,通常光では観察できない気孔の分布を観察できた.これらの情報を用いれば,これまで同定のための形質が少なかった黒色の炭化葉に新たな形質を加えることができる.
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