1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640598
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
林 謙一郎 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40124614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
掛川 武 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60250669)
塚本 勝男 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60125614)
大本 洋 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60194304)
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Keywords | 縞状鉄鉱床 / BIF / 酸素同位体 / ハマスレ-地域 / 熱水活動 |
Research Abstract |
明瞭な縞状構造を有する堆積物の中で、化学的沈殿物とされる物には縞状鉄鉱層(BIF)、層状マンガン鉱層、シリカシンター等がある。これらは海洋底あるいは地表で海水や熱水溶液に溶けていた鉄、マンガン、シリカなどの溶解度が下がることにより沈殿して生成された。これらの縞状堆積物の成因を明らかにするために酸素、炭素および硫黄の安定同位体の縞単位での変動を解明する研究を行った。 本年度はとくにオーストラリア・ハマスレ-地域のBIFに研究の重点を置いた。BIFはチャートと鉄酸化物層が、mmから数cmの互層を成す堆積岩である。この試料の石英につき(鉄酸化物層にも少量の石英が含まれる)、CO_2レーザープローブを用いた五弗化臭素法により1mm以下の単位で詳細な酸素同位体の分析を行った。石英のδ^<18>O_<SMOW>値は、16-23%の変化を示し、数cmの範囲でも緩やかなトレンドを示しながら変動している。互いに隣接する鉄酸化物縞中の石英の方がチャート中の石英よりδ^<18>Oが大きくなる傾向が認められる。従来のバルク試料を用いた研究からは、BIFの酸素同位体変動幅は<2%で同位体的には均質であるとされてきたが、本研究による微小分析によりこの考えが誤りであることが解った。微細な単位での鉄酸化物層とチャート層の互層は、季節変化を示すと考える研究者が多いが、今回のデータはこの説を支持しない。δ^<18>Oの7%にも及ぶ変化は、浅海の静的な環境下でBIFが生成したとするこれまでの定説では説明できず、BIFの生成には海洋底の熱水活動が密接に関っていたことを示唆する。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 林 謙一郎: "Geochemistry of 〜1.9Ga sedimentary rocks from northeastern Labrador,Canada" Geochimica et Cosmochimica Acta. 61. 4115-4137 (1997)
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[Publications] A.Samieyani、林 謙一郎: "Geochemistry of 3.5Ga massive sulfide deposits at Big stubby mine,pilbara district,Wastern Australia" Economic Geology. 93(in Press). (1998)