1996 Fiscal Year Annual Research Report
炭素質コンドライトの層状珪酸塩鉱物の顕微分光学的及び透過電子顕微鏡鉱物学的研究
Project/Area Number |
08640600
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
野口 高明 茨城大学, 理学部, 助教授 (40222195)
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Keywords | CMコンドライト / 層状珪酸塩鉱物 / spinach / 顕微可視分光法 / 変質 / L^*a^*b^*表色系 |
Research Abstract |
CMコンドライトは、水による変質を受けている隕石として知られている。CMコンドライトのほとんどはbrecciaなので、一つの隕石中に変質の程度が異なったものが含まれるが、全体的な変質の程度は隕石ごとに異なっている。今回研究したMurchison、Y-75293、Y-82042は、この順で変質の程度が高くなっている。これらについて、主にコンドリュール中の層状珪酸塩鉱物(いわゆるspinach)とphyllosilicate clastの顕微可視分光分析、SEM観察、EPMA分析を行った。顕微可視分光分析は4μm径の領域について、可視スペクトル(400-750nm)を測定するとともに、その測定値をL^*a^*b^*表色系に変換して色を定量的に表現した。分かったことは、(1)spinachは、Murchisonでは緑味が強い(a^*軸成分が負)ものが多く、Y-82072では赤みが強い(a^*軸成分が正)ものがほとんどになる。phyllosilicate clastは、Murchisonではspinachより明らかに赤みが強いものが多いが、Y-82042では両者の違いは明瞭ではない。(2)色の違いの原因となる遷移元素の含有量とa^*及びb^*軸成分との間に明瞭な相関はない。(3)大部分を占めるやや黄味がかったものの吸光スペクトルは滑らかに短波長から長波長に減少するか、450-500nm付近に小さな肩を持つ。緑味の強いものの吸光スペクトルには450-500nm付近に肩と700-750nm付近にピークをもつ山がある。赤みの強いものは450-500nm付近に大きな肩を持つ。雲母族鉱物の可視及び赤外スペクトルの研究を考慮すると、450-500nm付近の肩は6配位のFe^<3+>により、700-750nm付近にピークをもつ山は6配位のFe^<3+>とFe^<2+>とのあいだのintervalence charge transferによるものと考えられる。
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Research Products
(1 results)