1998 Fiscal Year Annual Research Report
沈み込み帯でのマントル-地殻間物質再分配におけるマグマ性フルイドの役割と化学組成
Project/Area Number |
08640601
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Research Institution | IBARAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
藤縄 明彦 茨城大学, 理学部, 助教授 (10143140)
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Keywords | 島弧マグマ / フルイド / マグマ成因論 / マントル交代作用 |
Research Abstract |
本年度は東北日本火山フロントよりも内弧側に位置する,ソレアイトマグマの卓越する秋田駒ヶ岳について,代表的試料の蛍光X線分析法(XRF)による主成分(茨城大学設置:現有、消耗品:薬品類、謝金:実験補助)およびプラズマ発光分光分析法での希土類元素分析(茨城大学設置:現有、消耗品:薬品類、ガラス器具類、アルゴンガス等)を行った。本火山においても,マントル起源と信じられてきた低アルカリソレアイトマグマからなるマグマバッチシステムが,同一火山体内の,しかもカルデラ形成後という,限られた期間内に於いてもに少なくとも4系列識別され,それぞれ異なる初生マグマに由来することが明らかとなった。XRFによる微量成分組成も定量予定である。また,岩手,秋田駒ヶ岳両火山の中間に位置する高倉火山についても試料を採取したので,現在分析に供しているところである。 更に,1火山におけるソレアイト、カルクアルカリ両系列の時間・空間的共存関係の検討を,安達太良火山において行った。共存する両系列岩の年代測定と層序の再検討に基づき,年代毎のマグマの化学特性を詳細に検討したところ,今まで一括されていたカルタアルカリ系列が,15万年前を境に,その化学特性を異にしていることが判った。この時点を境に少なくとも苦鉄質マグマの特性が急変,あるいは置き換わっており,新旧,各々独自の組成変化を行っていることが明らかになった。つまり,時間的分解能をあげることにより,火山下のより確実なバッチシステムの変遷をより具体的に解明でき,島弧マグマの生成進化メカニズムのモデリングをより現実性の高い物にできることが具体的に示されてきた。
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