1997 Fiscal Year Annual Research Report
モデル実験によるオリビン-スピネル相転移のカイネティックスの研究
Project/Area Number |
08640605
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
下林 典正 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70235688)
|
Keywords | オリビン-スピネル相転移 / 水熱実験 / カイネティックス |
Research Abstract |
オリビン-スピネル相転移のカイネティックスを検証する基礎データを収集するために,アナログ物質であるMg_2GeO_4を用いて水熱法によるモデル実験を行うのが本研究の趣旨である.2年目の本年度は,昨年度導入した高耐圧タイプのテストチューブ型反応容器を用いて,従来の封圧0.07GPaのシリーズに加えて,およそ倍の圧力である0.15GPaの高圧シリーズの実験を行う予定であった.しかし実際には,既存システムの耐圧キャピラリやジョイントの老朽化が予想以上に激しく,殆どの実験は圧力漏れを起こして失敗に終わった.本計画では,同一の実験条件下(温度・圧力・H_2O含有量)で最低でも3〜4通りの時間の異なった実験が成功していなければ,相転移開始時間などの必要データを導出することができない.そのため,従来の0.07GPaのシリーズと高圧シリーズとの間の差異に関するデータを系統的に得ることはできなかったが,単純に両者を比較すると圧力が高い方がオリビン相からスピネル相への転移開始が速まることが示された.しかし,その効果はH_2O含有量に比べると非常に小さいことがわかった. また,本年度導入した常圧炉を用いて常圧での実験も行った.さらには,名古屋工業技術試験所の協力によりHIPによる実験も行った.その結果,常圧では3ヶ月以上高温に保持しても相転移が起こらず,HIPにより所定の圧力をかけても,12時間程度のランでは無水の状態ではオリビンからの相転移が進まないことが判明した.それに対して,同じ圧力でも,数重量%のH_2Oを添加すると数時間のランで相転移の開始が確認できることから,上と同様に,オリビン-スピネル相転移には圧力よりもH_2Oの存在の方が大きく影響することが確かめられた.
|