1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640632
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
長谷部 亨 福島大学, 教育学部, 教授 (10091852)
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Keywords | 核磁気共鳴 / 緩和時間 / 拡散運動 / パルス磁場勾配 / 分子運動 |
Research Abstract |
分子性物質についての試料自身の蒸気圧下における結晶-結晶相転移,結晶-液体相転移という相変化は,温度をパラメータとする分子運動の励起過程と密接に関係しており非常に興味あることである。今年度の研究では,特に分子性物質の液相に着目し,核磁気共鳴の緩和時間と拡散係数の測定を行い分子の形状と拡散運動(並進運動)との関係についての知見を得ることを目的とした。 〔実験〕測定に用いた試料は,分子の形状と電気双極子モーメントを考慮して,(CH_3)_3CCN,(CH_3)_3CNO_2,(CH_3)_3CCl,(CH_3)_4Siとした。拡散係数の測定にあたり,パルス磁場勾配装置の改良を行った。電子回路や磁場勾配用コイルの改良によって,インダクタンス128μHのコイルを用い残留磁化や再現性など測定に支障のない条件下において、50G/cmのパルス磁場勾配を発生させたときの立ち上がり時間は370μsで,立ち下がり時間は260μsであった。^1H-NMRは,Bruker CXP4-60MHzパルスNMR装置を用い,10MHzの測定周波数で緩和時間とStejskalとTannerの方法によって拡散係数を測定した。測定温度範囲は,試料の融点から1気圧下での沸騰点まで,また,測定中の試料温度の制御は,設定温度±0.1K以下で行った。 〔結果〕^1H-NMRのスピン-格子緩和時間(T_1)と拡散係数(D)の温度依存性は,温度の逆数に対して単調な指数関数的依存性を示した。これらのデータから運動の活性化パラメータを得た。スピン-格子緩和時間と拡散係数との関係は,分子の電気双極子モーメントよりも分子形状を反映する結果を得た。分子が球形になるにつれて(CH_3)_3CCNは,T_1/D=2.5×10^9m^<-2>s^2,(CH_3)_3CNO_2と(CH_3)_3CClは両方とも3.3×10^9m^<-2>s^2,そして,(CH_3)_4ZSiは,3.7×10^9m^<-2>s^2という興味ある結果を得た。さらに測定データを増やすことによって,これらの解析から分子性液体におけるT_1とDの新しい関係式の導出が期待できる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] K.Tanaka and T.Hasebe: "Limiting current increase of oxidation of ferrocyanide anions in water and electrolyle solutions during freezing" Journal of Electroanalytical Chemistry. 401. 163-169 (1996)
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[Publications] C.Yokoyama and T.Hasebe: "NMR Study on Self-diffusion and Spin-lattice Relaxation of Trifluoromethane from the Triple Point to the Supercritical Region" Proceedings of 28th Congress Ampere. 378-379 (1996)