1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08640641
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Research Institution | KANAZAWA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
中垣 良一 金沢大学, 薬学部, 教授 (20159057)
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Keywords | 外部磁場効果 / 磁気同位体効果 / スピン格子緩和 / ビラジカル中間体 / 超微細相互作用 / 重炭素標識 |
Research Abstract |
4-ニトロー1-ナフトキシ基とアニリノ基を12個のメチレン鎖により連結させた鎖状分子の光酸化還元において、最終生成物反応収量に対して磁気同位体効果を検討した。また、7-ニトロー2-フルオレニルオキシ基とアニリノ基を連結させた鎖状分子を用い、外部磁場効果と磁気同位体効果を同様に検討した。キサントンカルボン酸(XO)とキサンテンカルボン酸(XH)をメチレン基12個で連結した化合物については、ビラジカル中間体の寿命に対して重炭素磁気同位体効果を研究した。アニリノ窒素と直結するメチレン基とXOのカルボニル基に重炭素置換を行った。反応収量に対する磁気同位体効果は定常光照射実験により評価し、ビラジカル寿命に対する磁気同位体効果はナノ秒レーザー閃光光分解法により測定した。 ニトロナフタレン誘導体のかご内生成物と散逸生成物の収量に対して、外部磁場効果を検出し、クロマトグラムのピーク面積強度から0Tと1Tの磁場存在下での生成物分布を求めた。トロフルオレン誘導体の場合にも、ニトロナフタレン誘導体と同様に外部磁場の印加により、かご内生成物収量が減少し、散逸生成物収量が増加した。これは、1分子かご内過程と2分子散逸過程の競合が磁場の印加により変化したものと解釈できる。ここでビラジカルのかご内反応速度を支配する過程としてスピン格子緩和を考慮すると、合理的な説明が可能となった。アニリノ窒素に隣接するメチレン基が脱水素酸化を受け、アニリノアルキルラジカルとなるので、この部位を重炭素により標識した化合物を用いると、明確な磁気同位体効果が観測された。XO-XH連結体の分子内水素引き抜きにより生じるビラジカル中間体の寿命は、重炭素標識により約半分にまで減少した。以上は、異方的な超微細相互作用に基づくスピン格子緩和により説明できる。
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