1996 Fiscal Year Annual Research Report
放射光による1-3価分子イオンの生成と解離のダイナミクス
Project/Area Number |
08640651
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
増岡 俊夫 大阪市立大学, 工学部, 教授 (80047208)
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Keywords | 2価イオン化 / 2価イオン化断面積 / イオン解離 / フラグメントイオン / 運動エネルギー分布 / トリプルコインシデンス / 電子相関 / シンクロトロン放射 |
Research Abstract |
分子科学研究所のUVSOR施設、BL3A2に設置されているRF信号-光イオン、光電子-光イオン、光イオン-光イオン、光電子-光イオン-光イオンの角度分解・多重同時測定システムを用いて、CO_2, SO_2, NO_2, N_2Oなどの気相分子の1-3価イオン化について調べた。その結果これらの分子の1-3価分子陽イオンの生成と解離のダイナミクスについて、以下に示す多くの新しく興味ある知見を得た。 1. SO_2, NO_2の1価、2価イオン化の割合や断面積を決定し、1-2価分子親イオンのイオン分岐比とそれぞれのフラグメントイオンの生成部分断面積(SO_2について)を求めた。また各価数の親イオンが解離する割合も明らかにしたので、1-2価親イオンの解離をより詳細に調べることができるようになった。 2. SO_2, NO_2の2価イオンの解離にともなって解放される運動エネルギー分布を、光イオン-光イオンコインシデンス(PIPICO)スペクトルを解析して、解離のしきい近傍から100eVの領域で調べ、2価分子イオンの生成と解離が複雑な機構(直接的な2価イオン化とそれに続く解離に加えて、中性の高励起分子や1価の高励起分子イオンの解離前や解離後の自動イオン化)によっていることを明らかにした。 3.光電子-光イオン-光イオンの3重同時計測から、NO_2, N_2Oの2価イオンの解離のダイナミクスを調べた。この3重同時計測法により、2価の分子イオンが同時に3体解離したのかあるいは段階的に3体解離したのかを区別することができた。 現在これらの成果について順次科学論文を取りまとめ中である。
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[Publications] T.Masuoka: "Kinetic-energy release in the dissociation of CO^<2+>_2" Journal of Chemical Physics. 104・16. 6200-6207 (1996)
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[Publications] T.Masuoka: "Single, double, and triple photoionization of molecules using synchrotron radiation" Canadian Journal of Physics. 74・11&12. 850-855 (1996)